劇団EXILE 小野塚勇人、『恋のしずく』共演者から学んだこと 「時間を共にすることがプラスに作用」

小野塚勇人、『恋のしずく』から学んだこと

「大杉漣さんは“背中で語る”人」

ーー父親役の大杉漣さんは、本作が遺作となりましたが、どんなやりとりがありましたか?

小野塚:大杉さんは何か直接口でアドバイスをするというよりは、背中で語る人でした。親父としての威厳や存在感が滲み出ていたと思います。自分にとってかけがえのない体験になりましたね。何かについて濃い話をしたということはなくて、むしろ撮影中もあまり言葉は交わしませんでした。僕としては最初は話したほうがいいのかな? と不安に思って小市(慢太郎)さんに相談したのですが、「大杉さんはそういう人だよ」と。なので、身を預けて自分の役に集中しようと思えました。


ーー杜氏役の小市さんは、劇中では「おやっさん」と呼ばれていますね、莞爾との関係も、愛情深いものに見えました。

小野塚:小市さんとは撮影が終わって毎晩のように飲みに行ってましたね(笑)。中村(優一)さんと飲み比べして、酔っ払った僕がおぶられて小市さんたちと帰っていくシーンがあるのですが、あのシーンはリアルな感じで。実は初日撮影が終わって日本酒を飲んだら酔っ払いすぎて、実際におぶられて帰りました(笑)。作品の設定では、おやっさんは小さい頃から莞爾の面倒を見てきてくれた第2の親父みたいな存在です。現場でも濃密な時間を過ごせたと思います。

ーー地方ロケということもあって、かなり仲が深まったんですね。

小野塚:そうだと思います。特に意識していたわけではなく、場所がそうさせた。それが地方ロケの良さだと思います。飲みの場でも、真剣に芝居の話をするというよりは、プライベートの話とか、今日のあのシーンよかったよね、とかざっくばらんに話ができて。その関係性が、そのまま次の日の撮影につながっていきました。時間を共にすることが、プラスに作用した作品だと思います。自然と東広島人の生活スタイルが身についてきたというか。地元の人も、仕事のあと飲みに行くのを楽しみにしていて、僕らもお酒を楽しみに撮影をがんばる。そこは変わらないのかもしれません。

ーー大杉さん、小市さんなどベテラン俳優も多く出演されていますが、共演者から学んだことはありますか?

小野塚:大杉さんと小市さんに関しては、やはり持っている経験値が自分とはまったく違って、教えていただくことが多々ありました。お2人とも一貫しているのは、すべてに対してこだわりを持っていて、何一つなあなあになっていない。自分のわからないことに対しては必ず確かめて、人の意見も聞いて現場の空気感も大切にしながらひとつひとつ細かくやっているという印象を持ちました。大杉さんも小市さんも、とてもおおらかで懐の深い方です。


ーー主人公・詩織役の川栄さんとは今回が初共演ですね。

小野塚:川栄さんは気さくで思い切りのいい人で、詩織と似ている部分もあると感じました。詩織は東京モノで、理屈で考える理系的なタイプで、莞爾からしたら一番よくわらかない人かもしれないです。でも、そこは相反しているからこそ魅力に感じたり、2人のバランスはいい具合にとれていると思います。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる