生きづらい現代に“モフモフ”を 『プーと大人になった僕』『パディントン2』愛され続ける2匹のクマ

 一見おっちょこちょいに見える、プーとパディントン。しかし彼らの言動には、“幸せになるヒント”がたくさん隠れている。2匹に共通して言えるのは、「幸せになりたい」から動いているのではなく、すべての人が笑顔でいられるか否かと、周りのために行動するということ。多忙で冷え切った生活を送るクリストファー・ロビンには、少年の頃に持っていた遊び心を与え、冒険心と笑顔、そして心の余裕を取り戻させる。一方パディントンは、刑務所のメニューを改良したり、絵本の犯人を全身全霊で捕まえようとしたりと、誰かが悲しんだり嫌な思いをする場合は、どんなに怖い相手でも勇気を出して立ち向かう。

 生きていれば当然、自分の思い通りにいかないことも出てくる。また、要領のよくない自分を責めるばかりに、身近な愛する人を不本意に傷つけてしまうこともある。苦悩を抱えながら懸命に生きるわたしたちに、“モフモフ”のクマたちが教えてくれるのは、他者への思いやりを忘れないことと、失敗を恐れないという案外当たり前のことだ。でもこれが意外と難しい。

『パディントン2』(c)2017 STUDIOCANAL S.A.S All Rights Reserved.

 だから自分や環境を変えようと遠回りをする前に、とりあえず心優しきクマたちの“モフモフ”に思い切りダイブするというのも1つの手ではないだろうか。みんなそれぞれ、この生きづらい世の中をなんとか毎日生きているのだ。プーやパディントンに悲しみを受け止めてもらい、愛すべきクマが持つ優しさを自分の中に吸収していく。年齢や老若男女関係なく2匹が愛され続けたのは、そのソフトな手触りと温かい心が、人々の抱える悩みを“モフモフ”と受け止め、笑顔に変えてきたからといえよう。どんな時代でも、人々の暮らしが変わっても“モフモフ”のクマは裏切ることなく誰かの側でちょこんと座り続けてくれる。だから、もし困ったことや悲しいことが起きたとしたら、その時はクマを頼りにしてみるのも良いかもしれない。プーにはハチミツを、パディントンにはマーマレードを忘れずに。

(文=阿部桜子)

■公開情報
『プーと大人になった僕』
全国公開中
監督:マーク・フォスター
出演:ユアン・マクレガー、ヘイリー・アトウェルほか
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)2018 Disney Enterprises, Inc.
公式サイト:disney.jp/Pooh-Boku

■リリース情報
『パディントン2』
Blu-ray&DVD発売中

【プレミアム・エディション(初回生産限定・Blu-ray)】
価格:6,500円+税
収録時間:本編104分+特典映像
特典映像:
〈本編DISC〉
■監督オーディオ・コメンタリー
■飛び出す絵本について
■ブキャナンのミュージカルナンバー
■プロデューサーインタビュー
■完成披露舞台挨拶
■マーマレードタワー点灯式
■吹替キャストリレーインタビュー
■予告&TVスポット集
〈特典DISC〉
■ CG制作について
■ワールドプレミアダイジェスト
■オフィシャルインタビュー
ヒュー・ボネヴィル/ヒュー・グラント/サリー・ホーキンス/ ブレンダン・グリーソン/ジュリー・ウォルターズ/ジム・ブロー ドベント/マデリン・ハリス/サミュエル・ジョスリン/ポール・キング(監督)/ゲイリー・ウィリアムソン(美術)/リンディ・ヘミング(美術)/サイモン・ファーナビー(共同脚本)
■ジャパンプレミア舞台挨拶
■公開記念舞台挨拶
■吹替キャストインタビュー(松坂桃李/古田新太/三戸なつめ/斎藤工)

【Blu-ray+DVD】
価格:4,500円+税
収録時間:本編104分+特典映像
特典映像:
■監督オーディオ・コメンタリー 
■飛び出す絵本について
■ブキャナンのミュージカルナンバー
■プロデューサーインタビュー
■完成披露舞台挨拶
■マーマレードタワー点灯式
■吹替キャストリレーインタビュー
■予告&TVスポット集

出演:ベン・ウィショー(声の出演)、ヒュー・グラント、ブレンダン・グリーソン、ヒュー・ボネヴィル、サリー・ホーキンスほか
日本語吹替版キャスト:松坂桃李、古田新太、三戸なつめ、斎藤工
監督:ポール・キング
製作:デヴィッド・ハイマン
原作:マイケル・ボンド
発売元:株式会社キノフィルムズ/木下グループ
販売元:ポニーキャニオン
(c)2017 STUDIOCANAL S.A.S All Rights Reserved.
公式サイト:http://paddington-movie.jp/

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