『MEG ザ・モンスター』監督が語る“サメ映画”の醍醐味 「観客に安心感を与えないことが大切」
ジェイソン・ステイサム主演映画『MEG ザ・モンスター』が9月7日に公開される。『ナショナル・トレジャー』シリーズや『ラスト・ベガス』のジョン・タートルトーブ監督がメガホンを取った本作では、潜水レスキューのプロであるジョナス・テイラー率いる海洋エキスパート・チームが、物学の常識を超えた“モンスター”=MEG(メガロドン)と対峙する模様が描かれる。
今回リアルサウンド映画部では、タートルトーブ監督にインタビューを行い、本作が他の“サメ映画”と一線を画す理由や、メガロドンの描写で力を入れたポイント、そして主演のステイサムの魅力などについて話を聞いた。
「エキサイティングなモンスタームービーが作りたかった」
ーー既にひとつのジャンルとして確立されていると言っても過言ではない“サメ映画”ですが、もともとこのジャンルにはどのような印象を抱いていましたか?
ジョン・タートルトーブ(以下、タートルトーブ):どの“サメ映画”も、ある側面では何か“サメ以外のもの”も描いているよね。チェスに似ているところがあるんじゃないかな。“サメ映画”の作品として印象に残っているのは、『シャークネード』シリーズ。とても悪趣味な作品だけれども、面白い作品だと思うよ。あとはやっぱり『ジョーズ』だよね。『ジョーズ』がどれだけ特別かと言うと、恐怖だけではなく、畏敬の念も持ち合わせていること。“サメ映画”は恐怖をどう現実的に味わえるかが肝だけれども、『ジョーズ』はサメに対して敬意を表することも強調しているんだ。スティーヴン・スピルバーグ監督は、非常に科学的な正確さを用いて、また危険度を増してそれをリアルに描いた。それも、脚本に依存するというより、映画作りが成せる技という部分でそれをやってのけたと思うんだ。
ーー今回の『MEG ザ・モンスター』では、どのような“サメ映画”を作ろうと?
タートルトーブ:『MEG ザ・モンスター』に関しては、映画館に行ってモンスターを観るような楽しみを意識したよ。オールドファッションで、エキサイティングなモンスタームービーが作りたかったからね。その設定を現代に置き換えて、現代的なサイエンスを用いたアイデアを取り入れたし、取り込む姿勢も現代的だったと思う。役者たちに言ったのは、現実的な状況にどう対応するかというユーモアのセンスが、非常にリアルになってくるということ。これは作り手側にも言えることなんだ。ただ、『ジョーズ』という作品があるだけに、その単純な真似だけはしたくなかった。特にこれは音楽に言えることで、ジョン・ウィリアムズのあの最高の楽曲が存在しているのに、それに対抗するような愚かなことはできなかった。観客も作り手も、『ジョーズ』という作品が存在していることが前提にあるわけだから、僕とてしては純粋に観客に楽しい経験をしてもらいたかったし、娯楽映画を作りたいという気持ちが強かったんだ。その考えに基づいているから、少しおかしな展開もあるけれど、いわゆる全く考えのないおバカ映画ではないんだ(笑)。すべて計算されたものなんだよ。