堂本剛、なぜ少ない出番にも関わらず『銀魂2』で圧倒的存在感を残せたのか?

 一方、「将軍接待篇」は完全なるギャグ回。生真面目な将軍・徳川茂茂を万事屋の面々が四苦八苦しながら接待する話である。無礼があれば打ち首必至であるにも関わらず、頑張れば頑張るほど無礼を働いてしまう。そのギャップが絶妙に面白い。この正反対のストーリーである「将軍接待篇」を『銀魂2 掟は破るためにこそある』では「真選組動乱篇」に見事に組み込んでいる。映画オリジナルの設定がありつつも、非常に自然な流れで物語が構築されており、まさに「笑いあり、涙あり」のストーリー展開。前作を超える傑作になっているのではないだろうか。

 そして同作品は、なんと言っても俳優陣の演技力がとてつもなく良い。実写映画にありがちな「コスプレ映画」になるかと思いきや、それぞれのキャラクターの中身までもが原作に忠実だ。しかも、主役の小栗旬は言わずもがな、菅田将暉、橋本環奈、柳楽優弥、吉沢亮、三浦春馬、窪田正孝と主役を張れる役者が揃っているゆえ、存在感があり一つひとつのキャラクターが埋もれない。それは高杉晋助役の堂本剛も然りだ。

 高杉が出てくるシーンは3〜4シーンのみ。しかもセリフもほとんど無い。正直、堂本剛目当てで見た観客は「少ない」と感じるかもしれない。それでありながら堂本剛は、紛うことなき高杉晋助なのである。例えば、表情。気だるそうな表情でありながら、目には「攘夷志士の中で最も過激で最も危険な男」と称される危うさがしっかりと灯っている。そして、仕草。煙管を持つ指はどこか艶っぽい。屋形船の縁に腰を掛け、着流しから伸びた足。前作で「18禁」と話題になっていた艶めかしさも健在だ。最後は、セリフの言い回し。相手を直接的に責めるようなことは言わないが、有無を言わさない圧力を感じる物言い、腹の底が見えないゆったりとした喋り方……。イメージにピッタリだ。まさに、どこを切り取っても「高杉晋助」である。そして、その圧倒的存在感で場面が切り替わるとストーリーの空気すら変えてしまっているのである。

 前作についてのコラムにも書かせてもらったが、筆者は原作『銀魂』のファン、高杉晋助ファンだ。今回、名台詞「万斉、俺の歌にはノれねーか」も飛び出し、原作ファンも納得の“高杉剛”になっていたはずだ。前作を超える成果が出ることは間違いないだろう。原作である漫画もそろそろ最終話。『銀魂3』の実現、そして高杉が暴れる「烙陽決戦篇」、「銀ノ魂篇」の実写化で“高杉剛”をじっくり堪能できることに期待を込めたい。

(文=高橋梓)

■公開情報
『銀魂2 掟は破るためにこそある』
全国公開中
出演:小栗旬、菅田将暉、橋本環奈、柳楽優弥、三浦春馬、窪田正孝、吉沢亮、勝地涼、夏菜、戸塚純貴、長澤まさみ、岡田将生、ムロツヨシ、キムラ緑子、佐藤二朗、堤真一、中村勘九郎、堂本剛
原作:『銀魂』空知英秋(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
脚本・監督:福田雄一
音楽:瀬川英史
主題歌:back number「大不正解」(ユニバーサル シグマ)
製作:映画「銀魂2」製作委員会
制作プロダクション:プラスディー
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)空知英秋/集英社 (c)2018 映画「銀魂2」製作委員会
公式サイト:gintama-film.com
公式Twitter:@gintama_film
公式インスタグラム:@gintamafilm

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