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シネコンの“上映スケジュール”はなぜギリギリの発表になるのか?

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 東京は立川にある独立系シネコン、【極上爆音上映】等で知られる“シネマシティ”の企画担当遠山がシネコンの仕事を紹介したり、映画館の未来を提案するこのコラム、第28回は“シネコンの上映スケジュール発表タイミング”について。

「えっ、来週末の上映時間、まだ決まってないの!?」

 これは映画ファンあるあるのひとつ。友人や恋人なんかと映画を観に行こうということになって、時間調べとくねー、と検索かけてみてびっくり。スケジュール出てないじゃん。予定決まんないじゃん。

 なんでもない週ならまだしも、例えばゴールデンウィーク。5月4日“みどりの日”以降の上映時間が発表されるのは、ほとんどのシネコンで4月30日の夜か5月1日。連休前半終了後です。これでは映画館のスタッフは自分たちが連休関係ないからって、存分に楽しませないようにしているのではないか、と思われても仕方ありません。

 これがイヤでイヤで、僕は十数年前に作った“映画館改革リスト”でも上位に挙げて改善に取り組んできましたが、申し訳ありません、未だこの件は解決できていません。

 現在、主要シネコンの上映スケジュールの発表は下記のようになっています。

・イオンシネマ:水曜24:15に翌1週分発表
・TOHOシネマズ:火曜までに金曜からの1週間分を発表
・松竹マルチプレックスシアターズ:火曜もしくは水曜に翌1週間分を発表
・ユナイテッドシネマ:水曜0:00以降に金曜からの1週分を発表
・109シネマズ:火曜午前中を目途に土曜からの1週間分を発表
・コロナシネマワールド:水曜に金曜からの翌1週間分を発表
※各社HPに記載してあるもの。正確な情報は各劇場にお問い合わせください。

 ほぼどこも大差ないことがわかると思います。早いところは火曜で、あとは水曜に金曜または土曜からの1週間分を発表というのが全体ルールということです。なぜこうなっているのでしょう? それは、シネマコンプレックスという業態そのものと大きく関わっています。シネコンという業態が成功したもっとも大きな理由は、ひとつの劇場が複数の席数の異なったスクリーンを持ち、成績によって細やかに劇場サイズや上映回数を調整することによって、効率よく集客できることにあります。土日の数字をみてスケジュールを作成し、月曜に配給会社に確認をとって、そこから印刷物やHP、サイネージなどの作成に入って、火曜ないしは水曜に発表、というのがだいたいの流れになっています。

 映画がヒットするかしないかは、結局始めてみないとわかりません。大きく予想を外すことはまれですが、とはいえ客層によってある曜日や時間帯に偏って混雑するとかしないとか、その作品単体の興行力の問題だけでなく同時期の上映作品、特に同じ層をターゲットとする作品の成否によっても揺らぎが生じますので、カンタンにはいきません。

 実際の数字を受けて、いかにスピーディーに柔軟に劇場や回数、時間変更ができるかが、シネコンの勝負ポイントになってくるわけです。上映スケジュールのギリ発表だけでなく、多くの映画館で通常のネット購入が鑑賞日の2~3日前になっている大きな理由のひとつは、土曜の数字によって、レディースデイである水曜のスケジュール変更を可能にするためです。作品によっては土日の数字を越えることもある水曜の取りこぼしを防ぐためなんですね。

 シネコン側の理屈は、こんなところです。一理ある、とは思ってもらえるでしょう。ですが、僕はこれが気に入らない。観る側の都合がまったく抜けているからです。もう20年以上もこのスタイルを続けてきたからといって、当たり前だと思うのは大間違いです。

 しかもここ数年は公開本数の激増もあって、1本の作品が朝から晩まで1日中上映されているということは少なくなってきました。そんなのは大型作品だけで、その大型作品であっても公開3週目には日に3回に減っていることも珍しくありません。さらに時間指定、座席指定で、入替制。途中入場はお断り。かつてに比べ入場のハードルは高くなって上映開始時間を知る重要度は格段に上がっているにも関わらず、それが発表されるのはより直前になっているわけです。

 僕はこの不便は、映画館の首を絞めることだと考えています。いくら集客のリスクを軽減し、効率を上げたところで、そもそもの母数が減っては本末転倒です。最低でも常に1週間先、2週間先のスケジュールを出せる方法はないものか? あらゆる手を考えてみましたが、いずれも上手くいきませんでした。

 実施できたのは、

○年末年始で新作公開がゼロの時に、2週間分発表した。
○超特大ヒット完全確定作品の初週のスケジュールを2~3週間前に発表した。

 という部分的な拡張だけ。

 スケジュール全体ではなく、一部を先取りして発表するというのは妥協案としては実現可能なのですが、しかしある作品は決まっているけどこれは決まっていない、というのはお客様にもかえってわかりにくくなるでしょう。

 上映開始時間や上映回数は配給会社との協議で決まることですので、シネマシティだけの工夫でどうにかするのは限界があります。やはり映画業界全体で取り組むべき問題だと思います。少なくとも限定的にだけなら、すぐにできることはあるはず。例えば年末年始、G.W.、お盆の途中には新作を公開しない。これだけでシネコンはやろうと思えばこの期間2週分の上映時間を発表できるはずです。ささやかなことですが。

      

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