『海月姫』原作を再現する“以上”の質でフィナーレを飾る 芳根京子の次なる演技にも期待

『海月姫』原作再現“以上”の質でフィナーレ

 そんな中で、やはり主人公を演じた芳根京子がコメディー演技を見事に開眼させたことはあまりにも大きい。連続ドラマ主演作としては『表参道高校合唱部!』(TBS系)と『べっぴんさん』(NHK)に続いて3作目となった彼女は、これまで役柄の“天真爛漫”さを体現するために使われてきたダイナミックな動きを、このドラマでは“スラップスティック性”、いわゆる“ドタバタ劇”に還元させることができた。

 画面に映っているだけで飽きさせない表情の変化や不可思議な動き。クラゲオタクという奇特なキャラクターを、設定負けにならないだけの演技で、周りのキャラクターに食われない存在感。これはある意味では“迫力”と言ってもいいレベルかもしれない。

 まもなく公開される海外アニメ映画『ボス・ベイビー』で吹き替えに挑戦し、3月18日から放送開始した『連続ドラマW イノセント・デイズ』(WOWOWプライム)でのシリアスな役柄など、その演技の幅がますます拡がっていく芳根。つい先日、篠原涼子と母娘を演じる映画『今日も嫌がらせ弁当』の制作が発表されたばかりだ。同作では喜劇タッチの作風も期待できるだけに、その演技に注目したい。いずれにしても、彼女のコメディー演技の原点となった『海月姫』は、芳根京子という女優のキャリアに欠かせない作品となったことは間違いない。

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■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
『海月姫』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00放送
出演:芳根京子、瀬戸康史、工藤阿須加、木南晴夏、松井玲奈、内田理央、富山えり子、要潤、北大路欣也、泉里香ほか
原作:東村アキコ『海月姫』(講談社『Kiss』所載)
脚本:徳永友一
編成企画:渡辺恒也
プロデュース:小林宙
演出:石川淳一
制作:フジテレビ/共同テレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/kuragehime/

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