「死んでも彼らに痛みは届かない」 『アンナチュラル』が伝える“いじめ問題”へのメッセージ

『アンナチュラル』が伝える"いじめ問題”

 ストップいじめ!ナビによれば、いじめは“急増”も“急減”もしておらず、どの時代にも一定数存在しているという。「例えば報道などでいじめ問題が注目されると、例年以上にアンケートなどに力を注ぐ学校が出てくるため、『報道で盛り上がった年は、いじめの認知件数が増える』ということになります」(引用:統計データ - ストップいじめ!ナビ)というように、報道によりデータは左右され、数字に反映すらされない被害者たちも存在しているそうだ。

 『アンナチュラル』第7話が突きつけた”いじめ問題”のメッセージは、制服を脱いだ大人たちにも、きっと刺さっただろう。“ノリの良さ”が学校内での人気につながる少年少女の世界では、無理をして笑っている子供たちもいる。劇中で教師たちが「遊びの範疇」だと言っていたように、大人から見れば仲が良い間柄でも、周りから求める期待に応えるために不必要な恥をかいている人たちだっている。学校と家の2つの世界でしか生きられない少年少女たちによる無垢な祈りが届く心を、大人たちは持ち続けていかなければならないのではないだろうか。

 また、最後に「いただきます」とおにぎりを頬張るミコトからは、何があっても生きていくという強い生命力を感じさせられた。食べる、働く、眠る……、そうやって日常を少しずつ紡いでいくのが生きていくということなのかもしれない。

 さて、1話完結ドラマといえど物語ももう終盤。今回、第1話から登場してきた中堂系(井浦新)が探す「赤い金魚」の正体が明らかになり、その捜索をミコトが手伝うことになる。

 一方「週間ジャーナル」のスパイであることを隠して、UDIラボで働くアルバイトの久部六郎(窪田正孝)は、第6話で汚い手を使ってでもネタをあぶり出すフリーの記者・宍戸理一に揺すられ、中堂が関わる事件の真相に探りを入れだした。さらに第8話「遥かなる我が家」の予告編では、六郎の父・俊哉(伊武雅刀)が登場。俊哉は、UDIラボに六郎の解雇を申し出し、なにやら不穏な空気が流れていた。

 各話のメッセージが強い中、第1話から続く伏線も徐々に回収されてきた『アンナチュラル』。最後まで一秒たりとも目が離せない。

(文=阿部桜子)

■放送情報
金曜ドラマ『アンナチュラル』
TBS系にて、毎週金曜22:00~放送
出演:石原さとみ、井浦新、窪田正孝、市川実日子、池田鉄洋、竜星涼、小笠原海(超特急)、飯尾和樹(ずん)、北村有起哉、大倉孝二、薬師丸ひろ子(特別出演)、松重豊ほか
脚本:野木亜紀子
プロデューサー:新井順子(ドリマックス・テレビジョン)、植田博樹
演出:塚原あゆ子(ドリマックス・テレビジョン)
製作:ドリマックス・テレビジョン、TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/unnatural2018/

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