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綾瀬はるか、“おとぎ話”を成立させる魅力 『今夜、ロマンス劇場で』は映画へのラブレターだ

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 予告やあらすじを見る限り、『今夜、ロマンス劇場で』は王道のラブストーリーに見える。映画監督を夢見る青年・健司が、ある日、通い慣れた映画館の“ロマンス劇場”で、ずっと憧れていた映画の中のお姫様・美雪と出会い、次第に惹かれ合っていく。しかし、美雪にはある秘密があり、2人は最後に大きな決断をしてハッピーエンド……といった具合だ。確かに、観客が想像する通りに物語は進んでいくのだが、本作はファンタジーと現実を見事に融合させた絶妙なバランスの上に成り立った傑作に仕上がっている。

 ヒロインの美雪を演じるのは、いまや日本映画界に欠かせない女優となった綾瀬はるか。映画の中から抜け出してきたモノクロのお姫様という役どころだ。いささか現実離れした役柄だが、本作の時代設定の空気感に非常に違和感なく溶け込んでいる。どこか地に足がついていないような浮ついた雰囲気を醸し出す、コミカルに描かれた昭和中期の世界観の賜物だろう。また、衣装をはじめとする美術にも目を見張るものがある。

 綾瀬が纏うのは原色を基とした色彩豊かなドレス。モノクロの肌との対比も見事だ。昨年公開された、第89回アカデミー賞6部門受賞作『ラ・ラ・ランド』を彷彿とさせる。『ラ・ラ・ランド』においては、主演のエマ・ストーンの白い肌をキャンバスに見立て鮮やかな原色を配色し、絵画のような絵作りがなされていたが、本作ではモノクロの綾瀬がその役割を担っている。美雪が健司の元に現れた翌朝、窓を全開にして外の景色を眺めているシーンがある。高く澄み切った青空というのは単純に美しいものであるが、モノクロの綾瀬はるかが中心に存在するだけで、その美しさはより一層際立つ。

 また、全編を通して、実直におとぎ話に振り切っているのも魅力の一つだろう。まるでディズニー映画のような王道プリンセスストーリーは、多少強引な演出やコミカルさを観客の我々に違和感なく受け入れさせる。美雪が失くしたお守りを探すシーンにおいては、土砂降りの雨の中、仲たがいしたはずの健司が傘を片手にやって来て、お守りを見つけた瞬間に雨が上がり、値千金の虹が空に架かるといったベタな演出がなされる。しかし、徹底的におとぎ話を貫く本作は、そういった演出すらかけがえのない存在となり、愛おしく感じさせる。また、ベタな展開というのはオマージュやパロディを成立させるカギともなっている。

      

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