北原里英が語る、『サニー/32』の過酷な撮影とNGT48卒業 「卒業後とかではなく、今が大事」
キャプテンを務めるNGT48を今春卒業する北原里英主演映画『サニー/32』が、現在公開されている。監督・白石和彌、脚本・高橋泉、共演にピエール瀧&リリー・フランキーと、『凶悪』のスタッフ・キャストが再結集した本作は、「犯罪史上、最も可愛い殺人犯」と呼ばれた当時11歳の少女“サニー”の狂信的信者である柏原と小田によって誘拐された、仕事も私生活も今ひとつの中学校教師・藤井赤理の運命を描いたサスペンスだ。
リアルサウンド映画部では今回、主人公・藤井赤理役で主演を務めた北原里英にインタビューを行った。念願だったという白石和彌監督作品出演への思いから、女優としての意識の変化まで、多岐にわたって語ってもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】
「下着姿になったことも忘れるくらい撮影が過酷」
ーー北原さんはもともと白石監督の『凶悪』が好きだったそうですね。
北原:そうなんです。『凶悪』は本当に大好きで。もともと「重め、暗め、エンタメ」の作品が好きで、今回白石監督とご一緒させていただけることになり、夢が叶いました。でも、白石監督は『日本で一番悪い奴ら』や『彼女がその名を知らない鳥たち』など、今とても勢いのある監督でいらっしゃるので、「私がその勢いを止めてしまったらどうしよう……」と少し心配でもありました。
ーー今回の作品は脚本を読んでどのような印象を受けましたか?
北原:読み終わった後にとても満足感があって、「これはすごい作品になる!」と思ったのですが、それと同時に、どうしたら演じきれるかと悩んでいました。撮影に入る前、白石監督からは「アイドル映画を撮りたい」と伺っていました。アイドルである私に世界観を寄せてくださったのだと思い、当初は複雑に捉えてしまっていた部分もありました。
ーー全編新潟で撮影というのも北原さんに寄っている部分でもありますよね。
北原:それも申し訳なくて複雑な気持ちでした。ですが、いざ蓋を開けてみたら白石監督ならではのアイドル映画だったので、とても納得しました。全編新潟で撮ったことも、景色や寒さが画面にものすごく生きていて、全部意味があったのだなと、完成した作品を観て改めて思いました。
ーー寒さの中での過酷なロケもそうですが、下着姿を披露したり、ピエール瀧さんに顔を舐められたりと、今回かなり体を張っていた印象があります。
北原:本当に大変なことばかりだったので、自分が下着姿になっていたことも実は忘れていました。特報映像が公開されたとき、NGT48のメンバーに「里英さん、脱いでいましたね!」と言われて、「そういえば脱いでたな」と(笑)。下着姿になったことも忘れてしまうぐらい撮影が過酷で。4回死ぬかと思いましたから(笑)。
ーー4回もですか!? ちなみに一番辛かったのは?
北原:まず死ぬかと思ったのが雪山を逃げるシーンです。初めて寒くて辛くて泣きました。泣く気はなかったのですが、自然と涙が出てきてしまって。あとは、赤理が覚醒するシーンをはじめ、台本を読んでいるときから「このシーンどうしよう……」というシーンがたくさんあったので、それは精神的に辛かったです。ですが、過酷で辛い撮影を共演者の皆さんと共有していたので、仲間意識がどんどん芽生えていって、現場はとても楽しかったです。本編ともその雰囲気がリンクしていたので本当に家族のような感覚でした。ご飯を食べるシーンではみんな素になりすぎて、まるで家族のエチュードをやっているようで。瀧さんがきっかけを忘れて、意味なく3分くらい食事のシーンを撮っていた瞬間もありました。「あれ?」「誰?」「俺か!」と(笑)。
ーー白石監督の演出はどうでしたか?
北原:白石監督はとても優しかったのが印象的でした。役者の方に寄り添ってくださる監督で、質問するとなんでも教えてくださいますし、違ったら違うとはっきり言ってくださる。よかったシーンがあったら「今のよかった」ときちんと言っていただけるので、すごく安心できました。撮影が進むにつれて信頼度はどんどん高くなっていきましたね。