『トドメの接吻』山崎賢人の“予想外の死”は何をもたらす? 加速する面白さを分析

『トドメの接吻』加速する面白さを分析

 タイムリープの繰り返しの演出も5話から6話にかけて特に面白かった。1話冒頭、海難事故の過去の中に沈み、現在に浮かび上がる旺太郎の姿は、この物語が、辛い過去を抱えた彼が浮かび上がるために必死で生きる物語であることを示していた。一方、5話で初めて互いを求め合った旺太郎と宰子のキスシーンにおける地下道というロケーションは、彼らの過去のトラウマと現在の葛藤、未来を変えるために過去に戻るという一連のアクションに寄り添う最も相応しい空間であった。また、6話においてタイムリープの繋がりが菅田将暉の歌うエンディングテーマへと繋がる部分も痺れた。1週間過去へ戻りながら、涙だけ未来から持ってきてしまった宰子。彼女が死んだ旺太郎にキスをして、「あれ? どうして?」と首を傾げるのは、彼が動き出さないことへの違和感はもちろんだが、キスをした瞬間に音楽、痙攣と目の見開きという主人公の身体の動き、高速で巻き戻される映像といったアクションが起こることを何度も経験し予想している視聴者の違和感をも反映していると言えるだろう。

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 「主人公の死」という衝撃のラストで幕を閉じた6話。宰子は旺太郎を助けるためにどう動くのだろうか。不敵の笑みで追い掛け回していた不気味な彼女は、実は「できるだけ怖がらせないように」精一杯の笑顔を浮かべて旺太郎を助けようとしていた事実や、甘いもの好きで、唇がカサカサと言われたことを気にして新しい口紅をこっそりつける、何事にも不器用な女の子だった。その展開になによりグッときている。宰子の成長物語も見逃せない。このドラマは一体私たちをどこまで連れて行ってくれるのだろうか。

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記

■藤原奈緒
1992年生まれ。大分県在住の書店員。「映画芸術」などに寄稿。

■放送情報
『トドメの接吻』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:山崎賢人、門脇麦、新田真剣佑、新木優子、佐野勇斗、宮沢氷魚、堀田茜、唐田えりか、山本亜依、志尊淳、菅田将暉
脚本:いずみ吉紘
音楽:Ken Arai
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:鈴木亜希乃、渡邉浩仁、岡宅真由美
演出:菅原伸太郎、明石広人
(c)日本テレビ
公式サイト:http://www.ntv.co.jp/todomenokiss/index.html

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