松岡修造がアツくない!? 『陸王』予想を裏切るクールな演技を考察
第1話から骨太でアツい展開が続く日曜劇場『陸王』(TBS系)。日本の映画・ドラマを牽引するベテランから注目の若手まで、粒ぞろいの俳優たちの中に、第7話から、満を持して登場した松岡修造。日本一アツい男の、初めての演技が話題を呼んでいる。
『半沢直樹』シリーズや『下町ロケット』の池井戸潤の小説を原作とし、15年ぶりの連続ドラマ主演である名優・役所広司を筆頭に、今をときめく山崎賢人や竹内涼真といった若手から、寺尾聰といったベテランまで豪華キャストが集結した本作。
老舗足袋屋の100年の歴史を背負いながらも新規事業である「陸王」開発に情熱を燃やし、「こはぜ屋」の、そしてこの『陸王』の顔として、みなを引っ張っていく役所。本作のために身体をつくり上げた、竹内や佐野岳をはじめとしたランナーたちの手に汗握る闘いや、「こはぜ屋」の奮闘の陰で暗躍する大企業、アトランティス社のピエール瀧や小籔千豊らの容赦ない悪役ぶり。今どきの若者の葛藤を等身大の演技で魅せる山崎と、父を演じる役所とのぶつかり合いと支え合い。夢破れた男が、いまいちど誰かの夢について行く、寺尾の男気。人と人との繋がりと絆を第一に、「陸王」開発の立役者のひとりとして奔走する風間俊介。
毎週このドラマを見ていて、目に涙を浮かべながら、思わず連発してしまう「アツい…」という言葉。ここにきて松岡修造の登場とは、あまりにもアツすぎる。
本作で松岡が演じるのは、世界的なシェアを誇る米国のアウトドア用品メーカー「Felix」の社長・御園丈治である。彼は「陸王」の、そして現在の「こはぜ屋」の要といえる「シルクレイ」に目をつけ、その特許保持者である飯山(寺尾聰)に近づき、高額の特許使用料を提示する。ところが飯山はこれを断った。そこで御園は「飯山さんが全幅の信頼を寄せている、あなたと手を組みたい」と宮沢(役所広司)に話を持ち掛け、「こはぜ屋」買収に乗り出したのだ。
松岡の本作への出演が発表された時点で、「演技ができるのか」「アツい演技をするのか」といった声を多く耳にしていた。ところがふたを開けてみれば、松岡修造という人物に世間一般が抱くイメージとはあまりにかけ離れた、クールな演技を披露している。普段からの健康的な快活さはそのままに、穏やかだが芯の通った声と態度には、大企業のトップに君臨する男らしい貫禄すら感じられる。そして役所広司を相手に、鋭く力強い視線で迫る。自社「Felix」の説明、「こはぜ屋」の技術力への賛辞、買収という提案。いずれも内面からにじみ出る、陽のエネルギーに裏打ちされた、誠実で自信に満ちあふれた物言いである。公式のコメントで本人は、「『陸王』は、日本の魂を感じさせる本気ドラマです。明日へ向かうための活力になるドラマの一員になれるよう、本気勝負させていただきます。まさに修造チャレンジ、自分を変える覚悟はある」と語っている。