田中圭と石田ゆり子が提唱する“新しい家族のかたち” 『民衆の敵』が届ける世間へのメッセージ

『民衆の敵』が届ける世間へのメッセージ

 佐藤智子(篠原涼子)が犬崎(古田新太)に対して起こしたクーデターは一見成功したかに見えたが、簡単にくたばるような犬崎ではなかった。犬崎の圧力により、智子の夫・公平(田中圭)と智子の友人・和美(石田ゆり子)との不倫疑惑がスクープとして報道されてしまう。『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』(フジテレビ系)第8話では、専業主夫として智子を支える公平と、シングルマザーとして懸命に働く和美が思う“新しい家族のかたち”が描かれた。

 報道を受けて、公平の母・悦子(田島令子)が息子のもとにやってくる。公平は、専業主夫として息子の駿平(鳥越壮真)に加えて、記者として働く和美の娘・あかね(野澤しおり)の子守も受け持っていた。悦子は、「あなた毎日こんなことやってるの? 情けない……。嫁に養ってもらって子守させられて」と捲し立てる。悦子は学校の校長という立場から、世間体を特に気にしている。公平の考えは、仕事と家庭を両立させる難しさを理解し、智子を支えたいというものだが、悦子は一向に息子の話に聞き耳を立てない。そこにやってきたのが、和美だ。

 「まるでヒモみたいじゃない」と公平を責め続ける悦子。和美は専業主夫という立場を理解させるため、自分がなぜシングルマザーなのかを話し始める。「私、友人の精子提供を受けてあかねを産みました」と打ち明ける和美。仕事に追われ、母親として出産のタイムリミットを迎えていた和美は、恋愛感情はなかったが“信頼する友人”に精子を提供してもらっていた。親には勘当されたが、自分が下した決断に胸を張り、「いろんな生き方がある。恋愛して結婚して子供を持つ。それが一番なのは分かってるんです。でも、恋愛できなかったら、子供を持つ幸せも諦めなくてはいけないんでしょうか」「家族のかたちは一つじゃないです。もっといろんなかたちがあっていいと思うんです」と、同性愛者の結婚を含め、様々な家族のかたちを認める世の中に変わっていくことを和美は望んでいた。

 「そんな素敵な生き方に協力してたんだね」と感銘を受ける公平だったが、和美の告白にも悦子の心は動かない。ドラマ上、悦子は世間を代表した人間として描かれており、これにはまだまだ古くからの考え方が根付いているという現状も考えさせられる。

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