『永遠のジャンゴ』監督が語る、実在の人物を描くために必要なこと 「感動した部分に焦点を当てる」

『永遠のジャンゴ』監督インタビュー

「レダ・カテブは短い期間で陰影のあるジャンゴ像を作り上げてくれた」

ーージャンゴ役には幅広いジャンルの作品で活躍しているレダ・カテブが抜擢されています。彼とのコラボレーションはどうでしたか?

コマール:レダはあの世代のフランスの俳優のなかでもトップクラスの俳優だ。彼の素晴らしさは、まるで演技をしていないかのようなところにある。演じる人物になりきっていて、役者がよくやりがちな、何かいいところを見せてやろうという癖もない。実はレダもそれほどジャンゴのことを知らなくて、ギターも弾いたことがなかった。だから1年半かけてギターの練習をしてもらったんだ。ジャンゴはギターと音楽をとおして自分を語っていた部分があったから、映画においてもレダにギターを弾いてもらうことが必要だった。実際にギターを弾いてもらうことによって、彼なりのジャンゴ像が自然と浮かび上がってくると考えたんだ。ジャンゴ自身は、勇敢なところもあればマッチョなところや子供みたいなところもあるし、ときにはとても卑怯な面を見せることもある。そんないろいろな側面を持ったジャンゴという人物を、それぞれのシチュエーションで演じ分けてもらうことを僕は彼に要求したんだけど、レダ自身もすぐにそれを飲み込んでくれて、短い期間で陰影のあるジャンゴ像を作り上げてくれたよ。

ーー今後も監督業は続けていくのでしょうか?

コマール:年を取ってから美味しいものを味わうと、よりその味に夢中になってしまうもの。だから監督しての次の作品も考えているよ。自分自身は作りたいと思っていても、どうしても2~3年ぐらいかかってしまうものだから、すぐにということにはならないと思うけどね。今回の初監督作は、製作費も豊富な時代劇で、テーマ的にも思いところがあったから、自分にとっては大きなチャレンジだった。次は規模的にもそこまで大きくない、もう少し軽めのシンプルな作品を作りたいと思っている。製作、脚本、監督ときているから、もしかしたら次は役者になるかもしれないけどね(笑)。

(取材・文=宮川翔)

■公開情報
『永遠のジャンゴ』
11月25日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
監督・脚本:エチエンヌ・コマール
音楽:ローゼンバーグ・トリオ
出演:レダ・カテブ、セシル・ドゥ・フランス
配給:ブロードメディア・スタジオ
(c)2017 ARCHES FILMS – CURIOSA FILMS – MOANA FILMS – PATHE PRODUCTION – FRANCE 2 CINEMA – AUVERGNE-RHONE-ALPES CINEMA
公式サイト:www.eien-django.com

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