白石晃士監督、27歳の小林勇貴監督に「単純にうらやましい」 『全員死刑』トークイベントレポ
間宮祥太郎が初主演を務める映画『全員死刑』(11月18日公開)のトークイベントが、11月14日に京橋テアトル試写室にて開催され、本作にて商業映画監督デビューを果たした小林勇貴監督、『凶悪』や『日本で一番悪い奴ら』などで知られる白石和彌監督、『映画秘宝』の創刊に携わった編集者の田野辺尚人、『貞子 vs 伽椰子』の白石晃士監督が登壇した。
『全員死刑』は、2004年9月に福岡県大牟田市で発生した強盗殺人死体遺棄事件「大牟田4人殺害事件」で死刑判決を受けた4人家族の次男が記した手記を、『孤高の遠吠』の小林勇貴監督が『冷たい熱帯魚』の製作陣とともに映画化したもの。借金を抱え困窮した生活を送っていた4人のヤクザ一家が、近所の資産家の金を奪おうと無謀な計画で1人を殺害したことをきっかけに、連続殺人へと狂い咲いていく様を、実行犯の次男の目線で描き出す。
イベントは、11月17日に発売される小林勇貴監督の自叙伝『実録・不良映画術』の話からスタート。出版元である洋泉社の田野辺氏は、「小林勇貴がどうやって映画を作ってきたのか、この本を読めば全部わかります。私の上司は一日で読んだと言っていました。320ページ。この厚さです。1600円。安い本ではありませんけど、内容は非常に濃い、面白い本です」とアピール。また、小林監督は本書の執筆について、「めちゃくちゃ楽しかったです。すごくいいタイミングで書かせてもらえて、ラッキーでしたね」と手ごたえを語った。
その後、白石和彌監督と、飛び入り緊急ゲストとなった白石晃士監督を交えて『全員死刑』の話題に。白石和彌監督は、「今まで小林監督がやってきた自主映画とは明らかに違うステージで、それがどう作用していくのかと思っていて。自主映画からプロの世界に入るとうまくいくパターンもあれば失敗するパターンもあるので、どうなるのか若干危惧はしていたんですけど、やっぱり(プロデューサーの)西村さんを始め、皆さんが上手くやってくれたんでしょうね。小林監督が堂々とした振る舞いでやっていたんだなというのが映画を観ていても感じたので、うれしかったですね」と感想を語る。
一方の白石晃士監督は、「27歳ですよね。スピルバーグが『ジョーズ』を録った年ですね。単純にうらやましいです。この作品を27歳で創れて。本当に小林監督は人徳というか、マンパワーというか、周りの人たちを巻き込んで映画を創るって言うのが、すごいですね。(中略)ヒロインの女の子が、とにかく可愛いかったので、いきなりあんな可愛い女の子と仕事ができるなんて……とにかくうらやましいなと思いました」と、羨望をあらわにした。
対する小林監督は、白石晃士監督に「『貞子 vs 伽椰子』とかいろいろ観て、キャラクターの造形が大好きで、ものすごく嫉妬というか、勉強していて。イラスト化しやすいキャラにはすごく魅力があるなと気づいたんです。なので、タカノリとかドロちゃんとか、今回の映画も、ある種マンガみたいになるようにやりました」と、その影響を明かした。イベントの最後には、小林監督が改めて「何度でも観に来てください。何度でもぶっ殺(さら)います!」とアピールした。
■公開情報
『全員死刑』
11月18日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷・テアトル新宿ほか全国ロードショー
監督・脚本:小林勇貴
出演:間宮祥太朗、毎熊克哉、六平直政、入絵加奈子、清水葉月、落合モトキ、藤原季節、鳥居みゆき
原作:鈴木智彦「我が一家全員死刑」(コアマガジン刊)
脚本:継田淳
音楽:中川孝
配給 :日活/東京テアトル
(c)2017「全員死刑」製作委員会
公式サイト:shikei-family.jp