山下智久、柳葉敏郎の意思を継ぐ? 『コード・ブルー』第2話で描かれた“導く者と導かれる者”
「信頼できる上級医からの“よくやった”って、フェローにとっては魔法の言葉」。7月24日に放送された『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』(フジテレビ系/以下、『コード・ブルー』)の第2話。「親の心子知らずということわざがある。確かにそうだ。親にはなっていないけど、今はその心がすごく理解できる」という白石恵(新垣結衣)のナレーションから始まる。そして、「毎日思うから。教える者の気持ちを教わる者はわかってくれているのだろうかと」と続くのだった。
第2話のテーマは“導く者”。そのため、患者である“導かれる”子と“導く”親の物語とともに、“導かれる”横峯あかり(新木優子)らフェロードクターと“導く”藍沢耕作(山下智久)らフライトドクターの物語が展開された。またその一方で、藍沢らがフェロードクターだった頃の指導者、黒田脩二(柳葉敏郎)を彷彿とさせるセリフが、各所に散りばめられていた印象だ。
救急搬送されてきた開放骨折の患者、宮本望海(古畑星夏)。17歳の彼女は妊娠していることが判明した。出産を望む望海だったが、駆けつけた父の勉(平山祐介)は「産むなんて冗談じゃない!」と猛反対。HCU(高度治療室)でほかの患者が寝ていることも顧みず大声で娘を叱り始める。そんな父親に対し、望海も反抗的な態度で応戦。お互いに話し合うこともせず、「産む」「産まない」の論争だけが続くのだった。
そんな中、緋山美帆子(戸田恵梨香)の一言、「意地の張り合いは、やめませんか?」でやっと冷静になるふたり。父親はなぜ頑なに反対するのか、その理由について、「お前、ひとりで子どもを育てるってことがどういうことか、本当にわかってるのか? 誰も代わりがいなんだぞ」と話し始める。望海は相手の男とは結婚せず、ひとりで子どもを育てると決めていた。たとえ彼女が17歳の少女であり、旦那というパートナーがいなくても、子どもにとっては関係ない。ただ、この世にたったひとりしかない「お母さん」なのだ。
さらに父親は、「当然、赤ん坊の時はいっときも目が離せない。保育園に預けられるようになったって、夜遅く帰るわけにはいかないから、できる仕事も限られる。誘われても、断ってばっかになるから、友達もいなくなる。趣味なんて、やる余裕も金もない。それで、いつの間にか時間が過ぎてて……。気づいたら17年経ってる」と続ける。
望海は父親のことを「つまんない人生送ってんの。出世するわけでもない、何か趣味があるわけでもない。女がいるわけでもない。女どころか友達もいないよ。どうせ会社でも誰からも相手にされてないんだ。毎日7時にピターッと帰ってきて。ホント何が楽しくて生きてんだろ」と緋山に話していた。だが、出世も趣味も友達も恋人も、全て望海を育てるために諦めたことだったのだ。おそらく宮本家は、望海が幼い頃からずっと父子家庭だったのだろう。母親がいない分、少しでも望海に寂しい思いをさせないために、父親は必ず7時に帰宅するようにしていた。だが、父親が自身を犠牲にしながら、目一杯の愛情を注いで育ててくれていたことを、望海は知らなかったのだ。「親の心子知らず」である。
そんな父親の話を聞いて、「お父さんは後悔してるの?」と尋ねる望海。その問いに、戸惑いながらも「いや……。後悔したことは、一度もない。お前といて……。ずっと幸せだったよ」とはっきり口にする。それを聞いた望海は「お父さん。私やっぱり産みたい」と強い眼差しで告げるのだった。妊娠したことがわかった当初から一度も揺らぐことがなかった“産みたい”という決心。緋山は出産に対する望海の意志の強さについて「お父さんが、子育てする姿を見てきたからだと思います」と推測していた。無意識のうちに望海自身も父親の愛情をしっかり感じていたのだろう。そして父親が気づいていないところで、子どもは強く成長していたのだ。時に「親よりも子どもの方が強い」こともある。
一方で、胸空ドレーンがうまくできず、人形で練習していた横峯。見兼ねた藍沢が、本物の患者で練習しろと、意識がない患者の前まで横峯を連れて行く。患者を「最高の練習台だ」と言い切る藍沢に、ショックを受け「ひどいです」と泣き出す横峯。そんな中、ドクターヘリが要請され、フライトドクターとして、藍沢と横峯が出動することに。患者3人、全てを横峯に任せるという藍沢。「フライトドクターはお前だ。俺はただの付き添い。お前の指示に従う」と言い放つ。このセリフはかつて黒田がフェロードクターだった白石らに言っていた言葉だ。さらに、なんとか3人の患者を救った横峯に、人を頼るな、手術が下手だと一通り、ダメ出しした後に、よかった点をいくつかあげて、「よくやった」と呟く藍沢。「よくやった」とぶっきらぼうに褒める姿もまた、黒田を彷彿とさせる。