瑛太×森田剛のバディから目が離せない 『ハロー張りネズミ』第1話レビュー

 毎クールに渡り高視聴率と高評価を獲得するプライムタイムドラマ枠の王者「日曜劇場」に、ここ1年で次々と人気作を送り出し、注目度を増した火曜22時の「火曜ドラマ」枠。まさに“ドラマのTBS”という呼称に違わない好調ぶりが続くTBS系列の連続ドラマ枠の中で、最も歴史の長い金曜22時枠が今クールの目玉となる。

 14日からスタートした『ハロー張りネズミ』は、“島耕作シリーズ”で知られる弘兼憲史の代表作のひとつである同名漫画をドラマ化したもの。過去には唐沢寿明主演で映画化されただけでなく、スペシャルドラマやアニメ化、さらには台湾でドラマ化されるなど人気の高いこのシリーズ。誰も引き受けたがらない面倒な依頼を引き受ける、人情とお節介が売りの“あかつか探偵事務所”。そこに所属する探偵「ハリネズミ」こと七瀬五郎(瑛太)が、仲間たちと共に様々な案件に立ち向かっていく、実にオールドファッションな探偵ドラマだ。

 第1話では、余命いくばくもない妻のために、死んだ娘に似ている少女を探して娘のふりをして欲しいという依頼に答える彼ら。演技ができる子役を求めて、テレビ局の知り合いに無理矢理オーディションを開かせてみるがうまく行かず。途方に暮れる中、偶然にも依頼人の娘に瓜二つの少女を見つけるが、彼女は心に大きな傷を背負っていたのであった。

 これから3ヶ月続くドラマの導入となるだけに、今回は「ハリネズミ」と相棒の「グレ」(森田剛)の仕事ぶりにフォーカスが当てられる。瑛太が面倒な依頼と向き合うバディドラマで、しかも大根仁が演出と脚本を務めるとなれば、三浦しおん原作の人気作『まほろ駅前』シリーズを思い出す。同作では真面目で慎重派の便利屋として奮闘していた瑛太が、本作では妙に気取ったコミカルなキャラクターを演じきる。まるで『まほろ駅前』での相棒・松田龍平の父、松田優作の名作『探偵物語』を彷彿とさせる部分があるのだ。

 一方で、相棒の「グレ」を演じる森田剛といえば、同じく探偵ドラマである2006年のドラマ『喰いタン』(日本テレビ系)で、ジャニーズ事務所の先輩でもある東山紀之演じる主人公の助手として、頼りない探偵を演じていた。しばらく映像演技から離れ、舞台で経験を積んだ彼は、昨年公開された映画『ヒメアノ〜ル』で狂気に満ちた殺人鬼「森田くん」を演じ、俳優としての評価を高めた。

 そんな「森田くん」のイメージが抜けない中、今作では依頼人の話を聞いて号泣するほど涙もろい一面を見せつつ、明るく気さくな雰囲気で屈託のない笑顔を見せる、主人公の良き相棒を演じているのだ。これまで強面な役柄が多かっただけに、珍しく“V6の森田剛”らしいキャラクターと言えるのではないだろうか。

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