日本はアメリカ寄り? 中国寄り? 『パイレーツ・オブ・カリビアン』が示す洋画興行の新傾向

『パイレーツ~』大ヒットが示す洋画興行

 ここ数年、ハリウッドのエンターテインメント系大作の興行についてよく耳にするのは、「アメリカでの興行はボチボチだったけど、中国やロシアなどの経済新興国では大ヒットしている」という話。特にシリーズものになると、その傾向は高まっている。これまで、日本での興行はどちらかというとアメリカでの興行や批評(実際に英語の批評記事を読んでいる人は少ないはずだが、何故か作品への大まかな評価だけは共有されていることが多い)に引っぱられることが多かったが、今回の『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』に関しては「中国寄り」興行と言ってもいいだろう。「アメリカ寄り」の興行、「中国寄り」の興行、どちらがいいとは簡単に言えることではないし、日本でのハリウッド作品の興行において今後どちらがスタンダードになっていくかに関しては、まだ様子を見ていく必要があるだろう。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)。Twitter

■公開情報
『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』
全国公開中
出演:ジョニー・デップ、ハビエル・バルデム、ブレントン・スウェイツ、カヤ・スコデラリオ、ケヴィン・R・マクナリー、ジェフリー・ラッシュ
監督:ヨアヒム・ローニング、エスペン・サンドベリ
脚本:ジェフ・ナサンソン
ストーリー:ジェフ・ナサンソン、テリー・ロッシオ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
原題:PIRATES OF THE CARIBBEAN: DEAD MEN TELL NO TALES
(c)2017 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.公式サイト:http://www.disney.co.jp/movie/pirates.html

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「興行成績一刀両断」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる