ボイメン田中俊介、『ダブルミンツ』チンピラ役はなぜリアル? 鋭さと脆さを併せ持つ説得力
この物語は、あらすじにも書かれているように、みつおとミツオは、どんどん運命の歯車が狂っていき、崖っぷちの状態になっていく。そんなふたりの行く当てのなさを見て、あまり有名な作品ではないが、台湾映画『深海 Blue Cha-Cha』を思い出した。
『深海』は、刑務所を出てきた女性と、彼女が慕う姉のような存在の女性の関係性を描いたものだ。ふたりの女性はみつおとミツオのように、行き場のないほど追い詰められるのだが、追い詰められた人というのは、もう陸の端に立っているようなもので、ここより先がない。海の深い底に潜るしかないような、そんな行くあてのない感情がその映画に描かれていたのを覚えている。
この『ダブルミンツ』もまた、ふたりの男が、同じ傷を抱えて、お互いに寄りかかりながら、ここより先のない地の淵に立っている。深いところでつながったふたりが、それが何かからの逃亡とはいえ、ふたりで共にその先に行こうとする姿には、何か絶望だけではなく甘やかなものも感じられるのだ。苦さもあるが、見終わったときに、どこかすがすがしい感覚も得た作品だった。
■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。
■公開情報
『ダブルミンツ』
6月3日(土)シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー
監督・脚本:内田英治
原作:中村明日美子「ダブルミンツ」(茜新社刊)
出演:淵上泰史、田中俊介、須賀健太、川籠石駿平、冨手麻妙、高橋和也、小木茂光
配給:アーク・フィルムズ、スターキャット
2017年/日本映画/100分(予定)
(c)2017「ダブルミンツ」製作委員会 (c)中村明日美子/茜新社
公式サイト:www.d-mints.jp