成田凌、同性がかっこいいと思える役者へ 『大貧乏』で見せた落ち着きの演技

 そして今回の『大貧乏』。主人公の七草ゆず子(小雪)は、8歳の息子と6歳の娘を女手ひとつで育ててきたシングルマザー。しかし、ゆず子が勤めていた人件派遣会社が突然倒産したことで、収入も貯金も全て失い、一文無しの大貧乏に。途方に暮れていたゆず子の元に、かつてゆず子に憧れていた同級生で今はエリート弁護士の柿原新(伊藤淳史)から、会社の倒産には裏があることを聞かされる。そして、営業部員であった加瀬春木(成田凌)と共に真相を暴いて行く模様を描く。

 一見ふたりのサポート役だが、初回から会社のデータを盗んでいたり、柿原の前では急に態度が悪くなったり、ふたりのスパイのような行動をとっていたり、一方で子供たちに対する優しさを見せたりと、なかなか本心が掴めない存在だ。前回の放送では、子供の頃に家族が犠牲になったため、社長への復讐をほのめかす、半沢直樹的なリベンジ魂を内に秘めていたことが判明した。春木の真の目的が分かってきた段階だ。

 このドラマの成田は、もはやベテラン俳優かと思うぐらいの落ち着きを見せた演技をしている。表情には出さないが内に秘めた復讐心や、それがいつ爆発し裏切るか分からないといった危うい感じが、実に見事なのだ。気さくな男かと思いきや、年上の小雪に対していつ手を出してもおかしくない雰囲気など、成田本来が持つミステリアスでクールな印象が遺憾なく発揮されている。まさにハマり役である。しかも、業界でも屈指の曲者ベテラン俳優らにも、演技で臆する事無く対等に渡り合う姿は、正直ここまで芝居ができるのかと驚きであった。

 『ふれなばおちん』などでもクールな役は演じてきたが、今までは「女性が好きになるイケメン俳優」という印象が大きかった。だが、今回は同性から見てもかっこいいと思える役者に進化している。ここへ来て、ワイルドな男っぽさが出てきた成田は、坂口との色が分かれてきたとも言えるのではないだろうか。もしかしたら今後は、メンノンモデルの先輩である竹野内のような役者になっていくのかもしれない。すでに次回作の連続ドラマ『人は見た目が100パーセント』(フジテレビ系)に出演が決定し、実際に美容師免許を持つ成田が売れっ子美容師役をするということだが、果たしてどんな一面を見せてくれるのだろうか。

(文=本 手)

■公開情報
『大貧乏』
毎週日曜よる9時から
出演:小雪、伊藤淳史、成田凌、神山智洋、内田理央、今井暖大、野澤しおり、滝藤賢一、奥田瑛二
脚本:安達奈緒子
編成企画:増本淳、西原恵
プロデュース:小林宙
演出:土方政人
制作:フジテレビ
制作著作:共同テレビジョン
公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/daibinbo/

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