深田恭子、真木よう子、吹石一恵……「82年世代」女優が醸し出す、成熟した魅力

 1982年生まれに、ドラマ界を支える主役級の俳優たちが集中していることをご存知だろうか? 小栗旬、藤原竜也、綾野剛、向井理、瑛太、櫻井翔に相葉雅紀、そして引退宣言した成宮寛貴などを誕生させた当たり年。彼らはもちろん、年功序列で主役になってきたわけではなく、もう10年も前から実力でドラマ界を席巻してきた。そんな実力者揃いの世代は、女優陣に目を向けてもまた素晴らしい。

 現在、82年生まれで勢いがある女優と言えば、間違いなく深田恭子だろう。この年末年始は、UQモバイルやスポーツくじBIGなどのCMで露出が多かった深田。昨年は『ダメな私に恋してください』(TBS/16年)で、「職なし、金なし、彼氏なし」という貢ぎ体質のダメな30歳女性を演じた。ダメなりに恋愛を頑張る深田の健気な姿が「かわいい」と大評判になったことが記憶に新しい。

そんな中、昨年4冊出版した写真集では惜しげもなくビキニ姿を披露。写真集の週間ランキングでは、10代20代のアイドルを差し置いて1位2位を独占するほど多くの人を魅了した。変わらぬ少女性と大人の色香の両方を絶妙なバランスで兼ね備えているのが、彼女の一番の魅力ではないだろうか。歳を重ねるごとにその魅力が増し、大人の色気に溢れていく深田。だからこそ彼女のファンは根強く、人気も衰えない。

 振り返ると、1998年に放送されたドラマ『神様、もう少しだけ』(フジテレビ)が彼女のブレイクポイントのひとつだった。当時16歳だったにも関わらず、病気と向き合い人生の決断をしていく女子高生という難しい役柄を熱演。そんな深田は、10代の頃からすでに可憐さの中にどこか艶やかさを漂わせていた。2002年の『First Love』(TBS)では、渡部篤郎演じる元教師と禁断の恋に陥っていく教え子を演じ、世の男性を魅了。歳上の男性を虜にする小悪魔的な女の子を見事に演じきった。

 その反面、映画『下妻物語』(04年)やドラマ『富豪刑事』(テレビ朝日/05年)では、現実離れしたお嬢様のような女性を演じることも少なくない。映画『ヤッターマン』(09年)のドロンジョ役では、セクシーな衣装にも関わらず可愛らしさが全開であった。つまり、シリアス・コメディ関係なく、アニメや少女漫画に出てくるような役柄こそハマってしまう。それが女優・深田恭子なのだ。

 そんな可愛らしい雰囲気を保ちつつ30代となった深田。女性たちにとってはなりたい目標であり、男性たちにとっては彼女にしたい大人の女性像という憧れの存在だ。さて、今月から始まるTBSドラマ『下剋上受験』では、娘の中学受験を支える中卒で元ギャルの母親を演じる。あまり子持ちのイメージがない深田がどう演じるのか楽しみだ。

 82年生まれで、深田が“可愛い大人”の代表なら、対照的に強くかっこいい女性の代表は真木よう子ではないだろうか。抜群のスタイルと端正な顔立ち、そして凛として清々しい演技から漂うクールな色気が実に魅力的だ。かっこいい女性のイメージが付いたのは、おそらく2007年のドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』(フジテレビ)の笹本絵里役だろう。第4係における紅一点のヒロインでありながら、男勝りの性格と度胸を持つクールな役だ。ハードなアクションをこなし、大胆なスタイルでも視聴者をドキッとさせた。

 しかし、彼女が表現する“女性のかっこよさ”は、なにも外見やアクションだけの話ではない。彼女の真骨頂は、人が本来持っている“生きる強さ”を説得力溢れる演技で表現出来るところにある。なかでも2013年の映画『さよなら渓谷』で演じた内縁の妻役は卓抜していた。夫に対する復讐、愛情、懺悔などの複雑な感情を押し殺しながらも、快楽を求める姿は、理性では割り切ることができない“人の性”の奥深ささえ感じさせた。化粧などの装飾に依るのではなく、一人の女性としての存在感で大人の色香を醸し出すのは、並大抵の力量ではない。

 また、同年公開の福山雅治主演映画『そして父になる』では、エリート家庭と庶民的な家庭、お互いの子供が出生児に取り違えていたという複雑なストーリーにおいて、庶民的な電気店を営むリリー・フランキー演じる子だくさんの妻役を演じた。『さよなら渓谷』とは真逆で、ちょっとガサツだけど愛情あるキュートなお母さんを演じ、複雑な環境でも前向きに生きる母の強さを見せた。

 1月21日スタートのNHK大河ファンタジー『精霊の守り人 悲しき破壊神』では、呪術師を演じる真木よう子。彼女が一貫して見せる強さが、ファンタジーの世界ではどのように表現されるのだろうか。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる