LGBT同士の愛が社会に訴えたものーー大塚シノブが『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』を観る

大塚シノブの『ハンズ・オブ・ラヴ』評

 またその想いを受け取るかのように、ジュリアン・ムーアもこの作品について、「ラブストーリーを演じるときは、相手の俳優に純粋な気持ちを抱くことができると、演技がものすごく簡単になる。今回はとてもラッキーだった」と話している。肉体的ではなく、精神的な問題。これは男女問わず、人間としてどれだけ深く相手を信頼し、どれだけ自分を安心して相手に委ねられるかという、演者としてラブストーリーを構築していくのに最も重要な、男女を越えた一種の人間愛的なメッセージであるようにも感じられる。

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 最近はLGBTが一般的に認知されるようになり、それに関する映画作品も増えている。ストレス社会の中で生きづらさを感じる時代背景もあるのだろうが、より自分らしさを求める社会になって来たことへの現れのようにも思う。そしてそれはLGBTに対する理解が、少しづつ進んで来ている傾向にあるということだろう。人間はいずれ死んでしまえば灰となる身。ならば個人の在り方を尊重し、尊厳を理解し、皆がよりよく生きていける社会にしていくためにはどうすべきかを考えていきたい。男だ女だという考え方はもう古い。今は個人としての力を重視する、そんな時代に突入してきているのではないだろうか。

 ローレルとステイシー。“自分のエゴのためではなく、ただお互いを愛し、与え合う”人間としての究極の美しい愛のカタチとは、こういうものなのかもしれない。

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■大塚 シノブ
5年間中国在住の経験を持ち、中国の名門大学「中央戯劇学院」では舞台監督・演技も学ぶ。以来、中国・香港・シンガポール・日本各国で女優・モデルとして活動。日本人初として、中国ファッション誌表紙、香港化粧品キャラクター、シンガポールドラマ主演で抜擢。現在は芸能の他、アジア関連の活動なども行い、枠にとらわれない活動を目指す。
ブログ:https://otsukashinobu5.wordpress.com/
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■作品情報
『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』
公開中
監督:ピーター・ソレット
脚本:ロン・ナイスワーナー
音楽:ハンス・ジマー
主題歌:マイリー・サイラス『ハンズ・オブ・ラヴ』(ソニー・ミュージックレーベルズ)
出演:ジュリアン・ムーア、エレン・ペイジ、マイケル・シャノン、スティーヴ・カレル、ルーク・グライムス、ジョッシュ・チャールズ
公式サイト:http://handsoflove.jp/
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