相田冬二の『いたくても いたくても』評:通販、プロレス、恋愛……3つの本気が溶け合う“旨い”映画

相田冬二の『いたくても いたくても』評

 つまり、『いたくても いたくても』は、筋書きのあるものと、筋書きのないものを、同じ鍋に放り込み、グツグツと煮込んでいて、気がついたら、どっちに筋書きがあったか、なかったか、わからないほど溶け合っていた、そんな料理だ。

 通販の本気。プロレスの本気。色恋の本気。それらは、本来、別のカテゴリーに属する本気だ。だが、この鍋のなかでは、なぜか溶け合い、わたしたちが知らなかった本気が浮上する。

 こんな映画もある。そして、そいつは滅法旨い。混ぜれば混ざるほど美味しくなる、こいつはシネマ・エスニックである。

■相田冬二
ライター/ノベライザー。雑誌『シネマスクエア』で『相田冬二のシネマリアージュ』を、楽天エンタメナビで『Map of Smap』を連載中。最新ノベライズは『追憶の森』(PARCO出版)。

■公開情報
『いたくても いたくても』
12月3日(土)渋谷ユーロスペースにてレイトショー
出演:嶺豪一、澁谷麻美、吉家翔琉、坂田聡、大沼百合子、芹澤興人、Jean、礒部泰宏、岩井堂聖子、川合空、中村圭太郎
監督・脚本:堀江貴大
脚本:木村孔太郎
配給:トラヴィス
(c)東京藝術大学大学院映像研究科
公式サイト:www.itakutemo.com

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