オスカー俳優ケヴィン・スペイシー、『メン・イン・キャット』で見せた渾身の“猫演技”
本作の原題「NINE LIVES」にもあるように、欧米では猫には9つの命があると言われている。もともとの起源は定かではないものの、すでに古代エジプト時代には、猫は高い場所から何度落ちても死なないことから、神として崇拝されるようになったという説もあり、猫と思しきミイラも発見されている。実際に魔女狩りという恐ろしい出来事があった中世ヨーロッパにおいては、猫は魔女の“使い魔”とみなされていたとも言われ、猫が持つ身体的能力の高さや神秘的な風貌、そして持ち前の賢さによって、古代からずっとネコたちが人間に一目置かれていたということがわかる。
人間のオヤジがやさぐれてぐでんぐでんに酔っぱらっていても、ただの酔っぱらいにしか見えないのだが、Mr.もこもこパンツが酔っぱらって床にごろんとひっくり返れば、観客は大ウケすること間違いなし。頭ではすべてはオスカー俳優ケヴィン・スペイシーの名演の賜物だということはわかっていても、猫という生き物が持つ、予測不能かつ型破りな行動パターンや、もふもふの美しい毛並みをスクリーンで見ているだけで、ついつい頬が緩んでしまうのだ。そんなケヴィンの猫なりきり度100%の意欲作に、きっと心をわしづかみにされること間違いなしだ。
■平野敦子
映画&猫専門フリーライター。著書に『新版 人に育てられたシロクマ・ピース』『ふたつの名前で愛された犬』(以上学研プラス)。猫びより等に寄稿中。年間約400本の映画を鑑賞。常に流浪の民で、今後は台湾とドイツとアメリカを訪問予定。死ぬ前に観たい映画は『哀愁』(笑)。
■公開情報
『メン・イン・キャット』
11月25日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
監督:バリー・ソネンフェルド
出演:ケヴィン・スペイシー、ジェニファー・ガーナー、クリストファー・ウォーケン
提供:アスミック・エース、カルチュア・パブリッシャーズ
配給:アスミック・エース
原題:NINE LIVES
2016年/英語/87分/カラー/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル/字幕翻訳:石田泰子
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