作詞家zoppの『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』評:生々しい物語が伝える、金の大切さと怖さ

zoppの『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』評

 また、私事ながら、今作のイメージソング「天上天下唯我独尊」の作詞を担当させていただいた。漫画は既読だったが、改めて全巻を読み返した。一人の物語が終わるたびに、お金の大切さ、怖さを改めて痛感した。社会に出てわずか十数年だが、これまで多くの、お金で我を失う人間たちを見てきた。彼らのことを思い出すと、自然とペンが進んだ。主題歌やイメージソングを作る際に気を付けなければいけないのは、作品に偏り過ぎないことだ。キャラクターソングとは違い、聴き手が想像できる隙間を作る必要がある。さらには、作品のテーマやメッセージを踏まえて、作り手である自分なりの答えやメッセージに落とし込む必要があるため、かなり苦労する。ただ、そのぶん遣り甲斐はある。

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 原作は陰惨で暴力シーンが多いが、映画化に際してその色合いが薄まっており、幅広い客層に向けて仕上げられている。様々な物語が絡み合っていくため、120分が短く感じられた。思わず自己投影してしまうほどのリアルさが、この作品の良さだ。あのとき、もしも選択を間違えていたら、自分は登場人物のような末路を辿っていたかもしれない、と思わず考えさせられてしまう。

 さらには、ポーカーフェイスの丑嶋が、ラストシーンで見せる表情だけで語るシーンは、観客に判断を委ねるような意味深なものだったため、様々な想像ができるだろう。この映画を観終わったあと、誰かと情報を共有して、タラレバ話に花が咲くこと間違いなしである。そして最後に、お金や人間関係について考え直すこと請け合いだ。金の主人になるのか奴隷になるのか、この作品を見て、今一度考えてみるのもアリかもしれない。

■zopp
1980年2月29日生まれ。アメリカ、マサチューセッツ州ボストンの大学でコンピューターテクノロジー専攻。16歳の時、初めてのアメリカ留学を経験。その時に勉強の延長線上で様々な海外アーティストの歌詞を翻訳している内に、作詞の世界に魅せられ作詞家を目指す。作詞活動と並行して、作詞家の育成(zoppの作詞クラブの講師)、ネーミング等を考える(コトバライター)、テレビ出演など、多岐にわたって活躍の場を広げている。2013年11月11日に、初小説『1+1=Namida』(マガジンハウス)を上梓し、小説家デビューを果たす。2016年1月15日には第二弾小説となる『ソングス・アンド・リリックス』を講談社文庫より発売。

■公開情報
映画『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』
キャスト:山田孝之、綾野剛、永山絢斗、真飛聖、間宮祥太朗、YOUNG DAIS、最上もが、真野恵里菜、太賀、狩野見恭平、湊莉久、天使もえ、マキタスポーツ、玉城ティナ、六角精児、モロ師岡、安藤政信、八嶋智人、高橋メアリージュン、崎本大海、やべきょうすけ
監督:山口雅俊
主題歌:Superfly「Good-bye」 イメージソング Superfly「天上天下唯我独尊」
公開表記:2016年10月22日(土)全国公開
公式URL:ymkn-ushijima-movie.com
コピーライト:(C)2016真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」製作委員会

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