石原さとみ、新垣結衣、米倉涼子……秋ドラマのプライムタイムは“闘う女たち”が活躍
男たちは捜査する
などなど、さまざまな場所で闘う女性たちに対して、男たちはもっぱら捜査に余念がありません。『相棒 season15』(10月12日(水)21時~/テレビ朝日系)を筆頭に、今クールは、それぞれ趣向を凝らした刑事ものが、いつになく盛りだくさんな印象です。織田裕二主演の『IQ246~華麗なる事件簿~』(10月16日(日)21時~/TBS系)は、貴族の末裔でありIQ246の頭脳を誇る天才が、警視庁の依頼によって、次々と難事件を解決する本格ミステリー。彼のバディとなる女性刑事を土屋太鳳が、そして主人公の執事役をディーン・フジオカが演じることも話題の一本です。
異色の捜査官という意味では、阿部寛主演の『スニッファー 嗅覚捜査官』(10月22日(土)22時~/NHK総合)も負けていません。“匂い”以外のことに一切興味がないという変人捜査官を阿部寛が、そのバディ役を香川照之が演じるなど、NHKの割には何かとクセの強そうな一本となっている模様です。一方、玉木宏主演の『キャリア~掟破りの警察署長~』(10月9日(日)21時~/フジテレビ系)は、玉木演じる主人公の名前が“遠山金志郎”であることからも明らかなように、キャリア官僚が自ら街に出て事件を捜査する、現代版『遠山の金さん』的な物語となるようです。
そして、日テレ×Huluの共同製作で話題を呼んだスペシャルドラマから、地上波連続ドラマへと進出した『THE LAST COP/ラストコップ』(毎週土曜21時~/日本テレビ系)では、唐沢寿明演じる、30年間の昏睡から目覚めた熱血刑事が、そのバディ役を演じる窪田正孝と、昭和風味満載のドタバタを繰り広げています。12月からはHuluで新作エピソードの配信、さらに来年のGWには、劇場版の公開も決定しているとのことですが、果たして勝算はあるのでしょうか?
頑張れ20代男性俳優
そんな特殊の能力や属性を活かして日々捜査に勤しむ男たちとは対照的に、巨額の借金を抱えたお人好しの元サラリーマンが、期間限定の“救世主”としてレンタルされ、無理難題に立ち向かう、沢村一樹主演の『レンタル救世主』(10月9日(日)22時30分~/日本テレビ系)もありますが、“闘う女性たち”に比べると、40代、50代の男性の主演作が多いのが、今クールの特徴でもあるようです。
主人公の相手役ではなく、若い男性が主演を張るドラマは無いのでしょうか。ひとつだけありました。テレビドラマはもちろん、映画『暗殺教室』シリーズや『グラスホッパー』などでその評価を高め、来年公開予定の実写版『鋼の錬金術師』の主役に抜擢された、Hey!Say!JUMP!の山田涼介が、初めて“ラブストーリー”に挑む月9ドラマ『カインとアベル』(10月17日(月)21時~/フジテレビ系)です。“ラブストーリー”と銘打っている割に、旧約聖書の逸話から取られたタイトルなど、どうやら山田涼介演じる弟と、桐谷健太演じる兄の確執がメインとなりそうな気がしないでもない本作。ラブストーリー部分は、桐谷の恋人役を演じる倉科カナが担当するのでしょうか。
いずれにせよ、“月9”らしからぬハード&シリアスな作品となることが予想される本作ですが、今クールの「プライムタイム」ドラマにあって、唯一20代男性俳優が主役を張る一本として、是非とも頑張ってもらいたい一本です。
■麦倉正樹
ライター/インタビュアー/編集者。「CUT」、「ROCKIN’ON JAPAN」誌の編集を経てフリーランス。映画、音楽、その他諸々について、あちらこちらに書いてます。