『スクール・ウォーズ』は今こそ再評価されるべきだ 大映の“熱い”作風と、長尺ドラマの豊かさ

『スクール・ウォーズ』は今こそ再評価されるべきだ 大映の“熱い”作風と、長尺ドラマの豊かさ

ドキュメンタリー性を増した第三部の価値

 やがて、第22話で大木が卒業して、平山誠(四方堂亘)がキャプテンとなる第三部に入ると物語は落ち着いたトーンに変わっていく。これは松村、伊藤、鶴見といった大映ドラマのエースが表舞台から外れたことで大映ドラマテイストが薄くなり、変わりに実話を元にしたドキュメンタリー性が全面化したからだろう。

 また、この頃になると、オープニングで描かれていた校内暴力の描写もほとんどなくなる。オープニングの学校の廊下をバイクで走るシーンが最後まで流れているため、校内暴力の印象が強い本作のだが、実は三年生が卒業した時点で校内暴力の問題はほとんど片付いている。この辺りのテーマの移行は実に見事で、第三部になると、物語のテーマはスポーツを通した人間的成長というテーマをより深めていく。

スクール・ウォーズ 花園よ永遠なれ より最終回「花園よ永遠なれ」より

 

 最終話は決勝戦の様子が流れる中で、今まであった各登場人物の逸話がナレーションで挟み込まれていくのだが、その淡々とした作りは、まるでドキュメンタリー番組のようで、違うドラマを見ているかのようである。これは、本作の持っている誠実さの表れに思える。

 途中から外国人コーチのマーク・ジョンソン(チャールズ・モーガン)が登場し、今までのような厳しい特訓だけでなく、「もっとラグビーを楽しめ」という前向きなメッセージが出てくるのも興味深いところだ。最終的にそれがスランプに陥っていた選手たちを立ち直らせて、花園での優勝という大団円につながっていく。

 実話を基にしているというドキュメンタリー色を打ちだしておきながら、ドラマチックでエモーショナルな展開が続く大映ドラマという、本来だったら真逆の要素が混然一体となっていることが『スクール・ウォーズ』の大きな特徴だろう。

 登場人物やエピソードも実在するモデルがあるものとドラマオリジナルの要素が混ざっているのだが、意外な人物やエピソードが実話を下敷きにしていたりするから油断ならない。このあたりは調べれば調べるほど面白いので、興味のある方は是非、原作本を読んでみてほしい。

『スクール・ウォーズ』が与えた多大なる影響

 最後に『スクール・ウォーズ』が後に与えた影響について考えてみたい。

 おそらく近年もっとも『スクール・ウォーズ』のテイストを引きついだのは09年に放送された野球ドラマの『ROOKIES(ルーキーズ)』(TBS系)だろう。この流れは現在放送中の『仰げば尊し』(TBS系)にも引き継がれている。教師がスポーツや文化活動を通して、不良たちを導き成長させていくという『スクール・ウォーズ』の遺伝子は着実に現代にも継承されている。その意味で本作が描いていることは普遍的な師弟愛だと言える。

スクール・ウォーズ 愛すればこそ より第8回「愛すればこそ」より

 

 また、これは『スクール・ウォーズ』だけに限ったことではないのだが、26話という長尺ドラマの心地良さが当時のテレビドラマにはあったのだと、改めて思った。

 今のテレビドラマはほとんどが1クール(10話)の作品で、そこから数々の名作が生み出されてきたが、一方で、大河ドラマや連続テレビ小説(朝ドラ)が盛り上がっていることを考えると、半年や一年という長い時間一つの物語の中に没頭できること、それは映画にはない、テレビドラマの持つ最大の長所なのではないかと思う。この長尺ドラマが持つ可能性はもっと追究されてもいいのではないだろうか。

 本作が描く歳月の中で、第一部にあたる最初の1年に6話を費やして校内暴力に取り組む滝沢の姿をじっくり見せたのち、物語は激動の第二部へとなだれ込んでいく。そして原作の精神をもっとも反映した第三部でラグビーに取り組む選手たちの姿をドキュメンタリーテイストで描くことで、きれいにまとめ上げている。

 こういった考え抜かれた構成で見せることができたのは、26話という長さがあったからで、今のテレビドラマにも十分生かせる仕組みである。Blu-ray BOXが発売されることで、『スクール・ウォーズ』が再評価されることを望む。

■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

■リリース情報
『泣き虫先生の7年戦争 スクール☆ウォーズ Blu-ray BOX』 <通常版>
9月7日(水)発売
価格:¥33,600+税
収録時間:本編1242分+特典映像約42分
商品仕様:DISC7枚組(全26作品+前半総集編収録)/トールケース・外箱付き
映像特典:「山下真司×松村雄基×伊藤かずえ スペシャル座談会」
封入特典:解説ブックレット
※このBlu-rayは、放送時の4:3サイズの本編映像の両サイドに一定した黒い帯状の映像を追加して、16:9サイズで収録いたしております。
※今回、単品Blu-rayとレンタルのリリースはございません。
※ジャケットデザイン、仕様などは変更となる場合があります。
発売元:TBS
販売元:キングレコード
(c)TBS・大映テレビ

馬場信浩 著『落ちこぼれ軍団の奇跡』(光文社刊)より
製作:TBS・大映テレビ
ナレーター:芥川隆行
主題歌:「ヒーロー」(歌:麻倉未稀)
出演:山下真司、岡田奈々、松村雄基、伊藤かずえ、岩崎良美、和田アキ子、坂上二郎、梅宮辰夫
Blu-ray公式サイト:schoolwars-blu-ray.com

『泣き虫先生の7年戦争 スクール☆ウォーズ Blu-ray BOX』 <豪華版(初回限定生産)>
Blu-rayBOXに「ライジング・サン ユニフォームレプリカ」付
価格:¥42,000+税
※Blu-rayBOXの仕様・内容は通常版と同じ
※画像はイメージです

■リリース情報
麻倉未稀『Voice of Power -35th Anniversary Album-』
発売日:2016年7月27日(水)
価格:¥2,778+税
品番:KICS-3398
予定収録曲
1、ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO <2016 Ver.>
2、Sunny-Side Up feat.牧山純子 <Orig. 牧山純子>
3、ダンシング・クイーン Dancing Queen <Orig. Abba>
4、君の瞳に恋してる Can’t Take My Eyes Off Of You <Orig. Boys Town Gang>
5、ブギー・ワンダーランド Boogie Wonderland <Orig. Earth, Wind & Fire>
6、ホット・スタッフ Hot Stuff <Orig. Donna Summer>
7、黄昏ダンシング <2016 Ver.>
8、ノーサイド <Orig.松任谷由実>
9、タイトル未定(オリジナル新曲)
10、タイトル未定(オリジナル新曲)
(ボーナス・トラック)
11、ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO <Original Version> TBS系テレビドラマ「スクール☆ウォーズ~泣き虫先生の7年戦争~」主題歌
12、ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO <Original Versionカラオケ>
発売・販売元:キングレコード
公式サイト:https://music-ap.co.jp/talent/miki-asakura/

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