綾野剛のラブシーンはなぜ“刺激的”なのか? 30代のリアルな色気に迫る
ほかにも、『ヘルタースケルター』(2012)では沢尻エリカ、『新しい靴を買わなくちゃ』(2012)では桐谷美玲、『シャニダールの花(2013)では黒木華、『夏の終り』(2013)では満島ひかりと、並みいる女優たちとキスシーンやラブシーンを演じてきた綾野。その極めつけといえそうなのが、2016年9月に公開される『怒り』で披露されるという、妻夫木聡との濡れ場だろう。海外のドラマや映画では、男性同士のラブシーンをしっかりと描くことが一種のトレンドにもなっていることから、ある意味では役者として最前線の演技に挑戦しているともいえる。役作りのため、ふたりは撮影中以外でも手をつないだり、唇を重ねていたとも伝えられているが、綾野剛ならきっとリアルに演じてくれるはずだ。
最後に、もうひとつ綾野のラブシーンについて指摘したい。現在、ラブシーンにおいて存在感を放っている俳優というと、池松壮亮や高良健吾なども挙げられるが、彼らの多くは線が細く、どちらかというと中性的な印象も受ける。彼らのラブシーンも魅力的であるのはもちろんだが、その美しさが現実離れしている感も否めない。一方で綾野は、30代の男性らしい肉厚さもあり、それが個性的な艶っぽさにもつながっている。汗をかき、息を荒くして営む姿が様になるのだ。男盛りを迎え、いよいよ成熟した魅力を増していく綾野のラブシーンから、目が離せそうにない。
(文=編集部)
■公開情報
『日本で一番悪い奴ら』
公開中
原作:稲葉圭昭「恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白」(講談社文庫)
監督:白石和彌
脚本:池上純哉
出演:綾野剛、中村獅童、YOUNG DAIS、植野行雄(デニス)、ピエール瀧
配給:東映・日活
(c)2016「日本で一番悪い奴ら」製作委員会
公式サイト:www.nichiwaru.com