長瀬智也と神木隆之介ーー主演ふたりの15年史から紐解く『TOO YOUNG TO DIE!』の魅力

主演2人から紐解く『TYTD!』の魅力

地獄の果てで、ぶつかり合うふたり

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 各々の道を歩んで、何の因果かこの“地獄”に流れついた長瀬と神木。『TOO YOUNG TO DIE!』の記者会見では長瀬が神木に関して触れた「こんなにたくましくなって…」という言葉も印象的だった。撮影当時の神木の年齢は、ちょうど長瀬にとって『池袋ウエストゲートパーク』や『ムコ殿』に主演した頃の自分の年齢とほぼ同じ。きっと胸のうちに様々な熱い思いが去来したはずだ。

 撮影現場では神木の方から「あそこの芝居はどんな感じにしますか?」と相談に来ることもあったとか。ふたりして「久しぶりの共演作が、こんなにぶつかり合える作品でよかったね」(プレス資料より)と語り合ったエピソードも、なんだかストーリーとは別次元のところで彼らにしか体感しえない感慨が刻まれていたことをうかがわせる。これはふたりの15年の集大成であると同時に、次の15年へ向かうスタートラインでもあるのだろう。

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 両者ともに俳優としてのタイプは全く違うが、それぞれの世代を代表するカリスマ性を持ったふたりであることは疑いようがない。そんな彼らが映画の中では互いに影響を及ぼしあい、やがてひとつのメロディを口ずさみながら心をひとつに重ね合わせる。長瀬が持つ、底からこみあげるような情熱を神木が受け継ぐ時、観客はきっと役者どうしの化学変化を超えた濃厚な何かを受け止め、大いに胸震わせるに違いない。『TOO YOUNG TO DIE!』はそんな映画なのだ。

■牛津厚信
映画ライター。明治大学政治経済学部を卒業後、某映画放送専門局の勤務を経てフリーランスに転身。現在、「映画.com」、「EYESCREAM」、「パーフェクトムービーガイド」など、さまざまな媒体で映画レビュー執筆やインタビュー記事を手掛ける。また、劇場用パンフレットへの寄稿も行っている。Twitter

■公開情報
『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』
全国公開中
監督・脚本:宮藤官九郎
出演:長瀬智也、神木隆之介、尾野真千子、森川葵、桐谷健太、清野菜名、古舘寛治、皆川猿時、シシド・カフカ、清、古田新太、宮沢りえ
製作:アスミック・エース 東宝 ジェイ・ストーム パルコ アミューズ 大人計画 KDDI GYAO
制作プロダクション:アスミック・エース
配給:東宝=アスミック・エース
(c)2016 Asmik Ace, Inc. / TOHO CO., LTD. / J Storm Inc. / PARCO CO., LTD. / AMUSE INC. / Otonakeikaku Inc. / KDDI CORPORATION / GYAO Corporation
公式サイト:TooYoungToDie.jp

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