『ヒーローマニア-生活-』と『キック・アス』、アクションシーンの違いを考察
“物語を語るアクション”も“キャラクターの性格を作るアクション”も、古くは黒澤明作品から『あぶない刑事』まで、ほとんどの映画で演技の延長線上にあるものとして認識されていた。ワイヤーワークやアクロバティックなスタントの発展と、ミュージックビデオ的な映像と音楽の融合が進むにつれ、アクションだけで楽しむ作品が増えてきたのである。かつての『マッハ!!!!!!!!』のような、アクションだけを追求した作品が間違っているわけではない。ただ、ある種のテーマ性を持つ物語を語る場合には、後味の悪さをもたらすケースもあるのである。
そういった意味で『ヒーローマニア-生活-』は、スタイリッシュで軽快なエンタメ作品の構造を参考にしつつ物語を成立させた優れたアクション映画である。製作陣が『キック・アス』を引き合いに出すのは、確固たる自信があればこそ、なのである。
■藤本 洋輔
京都育ちの映画好きのライター。趣味はボルダリングとパルクール(休止中)。 TRASH-UP!! などで主にアクション映画について書いています。Twitter
■公開情報
『ヒーローマニア-生活-』
5月7日(土)全国ロードショー
出演:東出昌大、窪田正孝、小松菜奈、山崎静代、船越 英一郎、片岡鶴太郎
原作:福満しげゆき「生活【完全版】」(モーニングKCDX/講談社刊)
監督:豊島圭介
脚本:継田淳
配給:東映/日活
(c)福満しげゆき・講談社/映画「ヒーローマニア-生活-」製作委員会
公式サイト:http://heromania.jp