有村架純は涙腺を刺激する女優だーー『僕だけがいない街』で健気なヒロイン演じる
過去を修正することによって、新たなタイムラインが作られ、未来が変わってしまうのがタイムリープ物の常だが、それが主人公にとって幸福な展開になるのか、不幸になるのか、改編された世界が万人に幸福をもたらすという事は少ない。その歯がゆいジレンマを、『僕だけがいない街』は明確に描いた。
ヒロイン愛梨を演じた有村架純の明るい笑顔と、その表情から滲み出る芯の強さは、切ないクライマックスを更に昇華させる。愛するものを守るために“リバイバル”という特殊能力を使って、時に自らの身体を張ってまでも時空を超える悟の姿は多くの観客を魅了するに違いない。しかしそれ以上に2008年の悟を献身的に支え続ける愛梨の姿と、二人を待ち受ける映画オリジナルの結末は、確実に観客の涙腺を刺激するであろう。
■鶴巻忠弘
映画ライター 1969年生まれ。ノストラダムスの大予言を信じて1999年からフリーのライターとして活動開始。予言が外れた今も活動中。『2001年宇宙の旅』をテアトル東京のシネラマで観た事と、『ワイルドバンチ』70mm版をLAのシネラマドームで観た事を心の糧にしている残念な中年(苦笑)。
■公開情報
『僕だけがいない街』
2016年3月19日(土)全国ロードショー
原作:「僕だけがいない街」三部けい(株式会社KADOKAWA/角川コミックス・エース)
監督:平川雄一朗
脚本:後藤法子
プロデューサー:春名慶
キャスト:藤原竜也、有村架純、鈴木梨央、中川翼、林遣都、安藤玉恵、淵上泰史、高橋努、及川光博、福士誠治、森カンナ、杉本哲太/石田ゆり子
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト:bokumachi-movie.com
(C)2016 映画「僕だけがいない街」製作委員会