加藤シゲアキが『ピンクとグレー』で描いた“痛み”はどう映画化された? NEWSの作詞手がけるzoppが読み解く

作詞家zoppの『ピンクとグレー』評

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(C)2016「ピンクとグレー」製作委員会

 脚本は、監督である行定氏に加え、演劇界の若き俊英、岸田戯曲賞受賞の蓬莱竜太氏。原作を大胆にアレンジしたため、既読した方たちは混乱しないように気を付けてもらいたい。

 「幕開けから62分後、“世界が変わる仕掛け”で、もうひとつの物語が生まれる!」

 このキャッチコピーを目にしたとき、どんな仕掛けが施されたのか気になっていた。いくつかの予想を立てていたが、それを覆す内容だった。多くの著名人からコメントが寄せられているが、みなさん同じような意見だったのが納得である。文字通り“世界が変わる”ので、目を大きくして見ていていただきたい。未読の方は、小説を読んで監督の仕掛けを改めて感じ取ってもらいたい。

 「原作のまま映画にするなら原作を読めばいい」行定氏の思いが込められている。原作、映画を両方味わってこその『ピンクとグレー』ではないだろうか。この映画は行定氏からみたひとつの解釈に過ぎない。賛否両論あるだろうし、あるべきだ。原作を読んだ人の数だけ62分後の物語があるはず。他にも語りたいことは沢山あるが、それをしては台無しになってしまう。もどかしい。こんなに見終わった後、誰かと議論したくなる映画は初めてだ。

■zopp
1980年2月29日生まれ。アメリカ、マサチューセッツ州ボストンの大学でコンピューターテクノロジー専攻。16歳の時、初めてのアメリカ留学を経験。その時に勉強の延長線上で様々な海外アーティストの歌詞を翻訳している内に、作詞の世界に魅せられ作詞家を目指す。作詞活動と並行して、作詞家の育成(zoppの作詞クラブの講師)、ネーミング等を考える(コトバライター)、テレビ出演など、多岐にわたって活躍の場を広げている。2013年11月11日に、初小説『1+1=Namida』(マガジンハウス)を上梓し、小説家デビューを果たす。2016年1月15日には第二弾小説となる『ソングス・アンド・リリックス』を講談社文庫より発売。

■イベント情報
『ソングス・アンド・リリックス』トークイベント開催
日程:2016年1月15日
場所:書泉ブックセンター秋葉原
イベントの詳細はこちら→https://www.shosen.co.jp/event/26909/

Twitter:@zopp_zopp
HP:http://www.zopp.jp/
zoppの作詞クラブ:http://www.zaza.tv/lyric_club/
YOU TUBE:https://www.youtube.com/channel/UCf_rqxQaXEQnal-RJ9FcDdA

■公開情報
『ピンクとグレー』
2016年1月9日(土)全国ロードショー
出演:中島裕翔、菅田将暉、夏帆、岸井ゆきの、宮崎美子、柳楽優弥
監督:行定勲 
脚本:蓬莱竜太・行定勲 
原作:加藤シゲアキ「ピンクとグレー」(角川文庫)
音楽:半野喜弘
製作:「ピンクとグレー」製作委員会 
配給:アスミック・エース 
公式サイト:http://pinktogray.com
(C)2016「ピンクとグレー」製作委員会

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