加藤シゲアキが『ピンクとグレー』で描いた“痛み”はどう映画化された? NEWSの作詞手がけるzoppが読み解く

作詞家zoppの『ピンクとグレー』評

 原作者はアイドルであり、小説家でもある加藤シゲアキ氏。そんな彼が2012年に上梓した小説デビュー作『ピンクとグレー』が映画化された。後に執筆された同じく渋谷と芸能界を舞台にした「閃光スクランブル」「Burn.-バーン-」とともに「渋谷サーガ」3部作として人気を博している。

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(C)2016「ピンクとグレー」製作委員会

 アイドルの加藤氏とは、作詞家として13年前の付き合いになる。同時に彼が所属しているアイドルグループNEWSとも同じ月日をともにしている。彼らは様々な経験をしてきた。同作はそんなグループにいる彼だからこそ描ける物語だ。読書中、白木蓮吾や河田大貴の台詞に胸を痛めた。映画でも同じシーンで胸に痛みが走った。そして、この痛みこそが彼が作品を通して伝えたかったことだろう。

 なにを武器にしたら良いか迷子だった彼が「小説」という武器を得てグループに貢献している。その証拠に、彼の小説最新作『傘をもたない蟻たちは』は、来年1月にドラマ化され、主題歌はNEWSが担当する。彼自身は原作・出演・主題歌提供と一人三役をこなすわけだ。自分よりもメンバーを思うからこそ出来たことだと思う。そして、それを成し遂げた彼は、男から見てもかっこいい。現在、NEWSは4人で活動しており各自がストロングポイントを持ち、それをグループに還元している。今後の活躍に期待が膨らむ。個人的には同じ小説家としての一面を持っているので、彼の活躍はとても刺激になる。

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(C)2016「ピンクとグレー」製作委員会

 主演の中島裕翔氏を初めて目にしたのは『青春アミーゴ』のPVだった。あどけなかった彼がすっかり大人になり、過激なシーンに挑戦している姿は色んな意味で感慨深かった。ファンの方は衝撃を受けると思うが、彼の新たな一面が見られる、という点では他のジャニーズアイドルのファンからは羨ましがられるだろう。今作で彼を取り巻く役者は曲者揃いだ。その中でも一際目立っていたのは菅田将暉氏だ。彼の演技に引っ張られる形で、中島氏は急成長したに違いない。確実に役者としてのふり幅は大きくなった。今後、中島氏がどんな役を演じるのかが楽しみである。

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