純金茶碗事件が明るみにした“最強現物資産”としての価格高騰 回避先として人気が上昇しているものとは?
4月11日、日本橋髙島屋で開催されていた「大黄金展」の会場から、販売価格1040万円の純金製の茶碗が盗まれた問題で、13日、堀江大容疑者(32)が窃盗容疑で逮捕された。江東区に住む堀江容疑者は、盗んだ当日に借金返済のために買い取り業者に180万円で茶碗を売却。その業者はその日のうちに別の業者に400万超の価格で転売していたこともわかった。
このニュースはネットで話題になっており、「1040万円は高すぎる」という意見のほか、「180万円で買い取ったのを400万円で売るとか、ヤバすぎだろ」という指摘もあった。実はこの180万円という値段がポイントなのだ。犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)によって、200万円を超える財産の移転を伴う取引の場合は、必ず身分証の確認とその後の税務署への申告が必要になる。
ここからは想像になるが、この盗難事件はその日のうちにニュースになっているため、もしかすると、最初の買い取り業者は盗品と勘づいていた可能性もある。そこで、バレにくい金額で買い叩いた可能性もゼロではない。いずれにせよ、真相は闇に包まれており、捜査の進展が待たれるところだ。
庶民は物価高に苦しんでいるとの報道が多い中で、日経平均株価は高騰。日経平均は過去最高値をつけており、投資で巨万の富を得、億り人となった話題もSNS上では少なくない。その影響もあって現物資産に注目が集まっており、腕時計、現代アート、ソフビ人形、ポケモンカードなど、様々な品物が相次いで高騰している。
なかでも現物資産として古くから普遍的に人気が高いのが、“金”である。金は最強の現物資産といわれ、戦争などの有事の際に投資先として注目されることが多い。ロシアのウクライナ侵攻などに伴う社会情勢の不安により、金の取引価格も過去最高値をつけており、田中貴金属工業の4月17日の発表によれば、K24のリサイクル価格は1万2317円、K18は9102円となっている(いずれも1gあたりの価格)。
金の価格上昇に伴って人気が上昇しているのが、アンティークコインだ。特に、国内外の“金貨”はオークションでの高額落札が相次いでいるが、そのブームの火付け役になったのが『カネはアンティーク・コインにぶちこめ!』(加治将一/著、東洋経済新報社/刊)である。現物資産の中でも金貨は金地金同様に古くから価値が認められているためだ。こうした金の高騰の中、ある経営者はこう打ち明ける。
「1g3000円台だった頃から金投資をしていますが、あまりに高くなりすぎて、正直、金のネックレスすら身につけるのが怖くなったほど(笑)。ここまで高騰すると売り時が難しい。一般人も現物資産に注目を始めていますが、ここまで加熱するといつ暴落してもおかしくなく、安易に手を出すのはおすすめできません」
ここまで物価高が進み、銀行の利息もまだ当てにできない時代、投資に手を出したくなる気持ちもわかる。しかし、投資はあくまでも自己責任。安易な手出しは禁物だ。もし、挑戦する場合は知識を身につけてから慎重に行うようにしたいものである。