【ライトノベル最新動向】12カ月連続刊行"ダンまち"シリーズ、ランキングを席巻!

 12カ月連続刊行中で「月刊ダンまち」状態と化している大森藤ノ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っている』シリーズの新刊がずらりとランクインしたRakutenブックス週間ライトノベルランキング(4月10日~16日)。3位となった4月14日刊行の『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 掌編集1』(GA文庫)は、本編の第1巻から第17巻に関連したショートストーリーが収録されていて、関係するキャラクターたちの楽しいエピソードに触れながら、これまでの話の流れを思い出せる優れものだ。

 第1巻とつながるショートストーリーでは、主人公で冒険者のベル・クラネルをギルドでサポートし続けているエイナ・チュールとの出会いが描かれていて、タイトルどおりにダンジョンに出会いを求めてきたかのように初々しいベルが、可愛らしい見かけによらず厳しい指導をするエイナのチュートリアルに困惑する姿に触れられる。『処刑少女の生きる道』などを手掛けるイラストレーターのニリツが描いたエイナがキュートで、厳しくても2人きりになって指導を受けてみたいと思わされる。

 ベルが所属するヘスティア・ファミリアが、戦争遊戯(ウォーゲーム)に勝って拠点を手に入れたことで、ベルからもう昼食を差し入れてくれなくても良いと言われるかもと心配したシルが、微妙すぎる料理を頑張ろうとして酒場の仲間を涙目にさせるエピソードは、シルのその後が分かっている状況で読むと、笑えると同時に少し物悲しい。17巻とつながるショートストーリーは、ベルを思うフレイヤが暴走していた最中だっただけに、ひとりだけ事情を知るヘスティアの叫びが聞こえるよう。読むことで本編を再読したくなる1冊だ。

 10位までで5冊が「ダンまち」関係となったランキング。このうち3冊は「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 英雄譚」が締めている。第9位が7月14日発売の『アルゴノゥト前章 道化行進 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 英雄譚』(GA文庫)、第10位が8月10日発売の『アルゴノゥト後章 英雄運命 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 英雄譚』(GA文庫)。ベルが愛読して来た英雄アルゴノゥトの物語だが、作中内作品に留まらず「ダンまち」の世界観知る上で重要なものとなっている。

 第2位で8月10日発売の『アルゴノゥト豪華特装版 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 英雄譚』(GA文庫)は、通常版の2冊を1冊にまとめたハードカバー。第7位で6月15日発売の『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか オラリオ・ストーリーズ』(GA文庫)は、アニメのBlu-ray/DVD特典小説。これに先立つ5月15日には『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 掌編集2』(GA文庫)も登場して12カ月連続刊行をつなぐ。

 その後に来るはずの、フレイヤとの関係が決着した後のベルの活躍、そして憧れ続けるアイズ・ヴァレンシュタインとの関係が描かれる本編を待ちながら「月刊ダンまち」を楽しみたい。

関連記事