「アニメオタク」が「漫画オタク」人口を逆転!? コロナ禍の緩和、アニメ過疎県が少なくなったと識者解説

アニメや漫画のオタクの聖地である秋葉原の街並み 写真=photolibrary


 2022年、民間の市場調査会社の矢野経済研究所は、恒例となっているオタク人口推計を発表した。調査によると、もっとも多いオタクはアニメオタクで、約685万人。2位は漫画の約683万人となった。なお、3位はデジタルゲームの約454万人、4位はアイドルの約361万人である。

 このたびアニメオタクが、前回首位だった漫画を抑えて首位に立った。年間消費額は1人あたりアニメ3万5799円、漫画2万9541円となり、消費額でも大幅に上回っていることが浮き彫りになった。アニメオタクを自認する編集者が、こう分析する。

 「数年前まで私は地方に住んでいましたが、地方だとアニメがリアルタイムで視聴できなかったり、放送自体がされないアニメ過疎県が多かった。ところが、最近はNetflixなど動画配信サイトの普及で、地方でもすぐにアニメがみられるようになりました。この格差が是正されたことは、アニメファンの拡大に貢献したのではないでしょうか」

  矢野経済研究所によれば、2022年度は依然としてコロナ禍が続くものの、行動制限などが緩和されつつあり、テレビアニメの制作本数が回復傾向にあるという。また、「SPY×FAMILY」や「パリピ孔明」などのヒット作が登場したことで、ファンの増加につながったのかもしれない。

 そして、オタクを取り巻く状況も様変わりしつつある。かつては、「オタク」という言葉からは、ネガティブでマイナスなイメージを感じることが多かった。ところが、その傾向も薄れつつある。若い世代ほど、自分がオタクであると名乗ることに恥ずかしさを感じなくなっていると、先の編集者が言う。

 「今の20代以下の世代は、京都アニメーションやufotableなどのハイクオリティなアニメを、日常的に見て育った世代です。インターネットや動画サイトが物心ついたころから身近にありましたし、ファッション雑誌でも『鬼滅の刃』の特集が組まれるなど、アニメがより日常的なものになっています。そのため、上の世代よりもオタクを名乗ることに抵抗がないようですし、『オタクになりたい』と憧れる人も増えているように思います」

 これはオタクのライト化とみる向きもあるが、どのような理由であれ、アニメに気軽に親しむ人が増えたことは歓迎すべきことではないだろうか。そのおかげで、今まではアニメショップでしか購入できなかったグッズがコンビニでも買えるようになり、回転寿司やカフェなどのチェーン店でもコラボが続いているのだから。

 矢野経済研究所によれば、もはやオタクが市場の担い手となっている産業も数多く存在しており、彼らの活動が経済に与える影響も大きくなっているという。オタクは日本経済を支える重要な存在であり、今後もその動向を見守っていく必要があるだろう。

関連記事