BTS Vのレコメンドで話題! 韓国エッセイ『家にいるのに家に帰りたい』クォン・ラビンが語る、和製エンタメへの愛情

 2020年にグラミー賞にノミネートされた人気K-POPグループ・BTSのメンバーであるVが、グラミー・ミュージアムでインタビューされた際に「最近本を読み始めました。その本は僕にたくさんの慰めと共感の言葉をくれました。でもまだ本の表紙しか読んでいません」と語り、日本でも話題をさらったエッセイ『家にいるのに家に帰りたい』(辰巳出版&books)。「上手く言葉にするのは難しいけど、誰もが心の中に抱えている思い」が丁寧に綴られており、ARMY(BTSのファン)のみならず多くの読者の心を掴み、5万部超の大ヒットとなっている。今回、本書の著者であるクォン・ラビンさんへのインタビューが実現。幸先の良いデビューを果たした新進気鋭の作家が知られざる胸の内を語り、和製エンターテイメントへの造詣と愛情の深さを見せてくれた。(露木桃子)

執筆のアイデアが一番わくのは、シャワーを浴びているとき!?

クォン・ラビン『家にいるのに家に帰りたい』(辰巳出版&books)

——『家にいるのに家に帰りたい』の出版は、Instagramがきっかけと伺っていますが、Instagramを始めたきっかけと、本を出版することになった経緯について教えてください。

クォン・ラビンさん(以下ラビン):ずっと文章を書き続けるうちに、それを見た親しい作家の方たちから、「わたしがやっているみたいに、Instagramに投稿してみたら?」と提案され、Instagramを始めました。幼い頃から色々な本を読み、小説を書きたいと思っていて、小説を書く前に自分の文章が人々にどれぐらいの影響を与えるのか確かめてみたかった。そんな思いからわたしの人生をありのまま率直にさらけ出した『家にいるのに家に帰りたい』が生まれました。

——チョンオさんのイラストとの組み合わせもとても素敵でした。本文イラストをチョンオさんにご依頼した経緯についても教えてください。

ラビン:本を出版するにあたり、「あたたかいイラストを載せたい」と考えていました。わたしのInstagramでイラストレーターを募集したところ、チョンオさんから最初に連絡をいただき、色や雰囲気がわたしの文章に合っていたため、本のイラストをお願いすることにしました。


——タイトルの『家にいるのに家に帰りたい』に込めた意味とは?

ラビン:『家にいるのに家に帰りたい』というタイトルは、文字通り、年齢に関係なく自分が落ち着き癒される空間である家のことを意味しています。ひとり暮らしや寮生活をする10代の学生や20代の社会人であれば誰もが、家族と暮らした幸せな家を懐かしく感じることでしょう。家にいても育児と家事で忙しくて休む空間がない主婦や、仕事が終わった後に家事と育児に追われてひとりでゆっくりする時間がないワーキングマザーも、夢のように完璧な家を望んだことがあるのではないでしょうか。そんな思いをタイトルに投影しました。

——「言葉の重み」や「みかん半分の愛」のように、誰もがきっと感じる日常のさりげない思いや出来事を上手に言語化されています。執筆のスタイルを教えてください。

ラビン:わたしは、日常のすべてと自分の人生、人との会話、それら全部がインタビューであると考えています。タクシーで運転手さんと話す内容、ラジオから流れてくるエピソード、街で偶然聴いた曲の歌詞、愛する人たちや読者との対話、本を読んでインスパイアされたこと。映画、ドラマなど。見る、聞く、感じる、すべてが私にインスピレーションを与えます。インスピレーションを得ると、スマートフォンにメモして文章にまとめたり。周りの言葉を一つでも聞き逃さず観察し、分析するタイプで、テレビのCMを見た時も、メッセージを分析します。

——どんな時に執筆のアイデアがわきますか?

ラビン:特にアイデアがわくのは、シャワーを浴びている時。1日3〜4回シャワーを浴びることもあります。眠りに落ちて半分夢を見ているような状態の時も、夢の内容が気に入ったら、いつか小説を書く時のためにスマートフォンのメモに書き留めます……ちょっと変わっているかもしれませんが(笑)。

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