Oasis完全復活の裏側、分断を超えて繋がった巨大な熱量 映画『ドント・ルック・バック・イン・アンガー』を今観るべき理由

2026年9月11日より、2週間限定で公開中の映画『オアシス:ドント・ルック・バック・イン・アンガー』。日本でも社会現象的な話題となった2025年のOasisの再結成ツアー『Oasis Live '25』に密着したライブドキュメンタリー作品ということで、多くの注目が集まっている。
ギャラガー兄弟自身が望んでいた“Oasisの復活” 最強のコンビが戻ってくるまで
ツアー中のリアム・ギャラガー/ノエル・ギャラガー兄弟の様子、1999年以来となるポール・“ボーンヘッド”・アーサーズ復帰の裏側、ツアーで訪れた世界各国のファンの熱狂、貴重なリハーサル映像、何より世界中の称賛を集めた“完全復活”という言葉が相応しいライブパフォーマンスの数々など、観客が本作に求めるものはさまざまだろう。有難いことに試写を拝見できた筆者の立場として言えるのは、「たっぷり味わえるし、今すぐチケットを取ってくれ」ということに尽きる。ちなみに私は鑑賞中に8回ほど泣いた。
その上で話を続けるが、きっと多くのファンが、この映画が今回の再結成における最大の疑問に応えてくれるのではと期待しているのではないだろうか。つまり、「で、どんな風の吹き回しで15年以上ぶりに再結成することになったんですか?」ということである。2009年の解散のきっかけでもあり、あれからずっとお互いの悪口を言い続けていたギャラガー兄弟が、なぜこのタイミングで再結成=仲直りをしたのだろうか。
結論から言うと、その明確なきっかけについては、本作では明言されていない。兄弟のどちらが持ちかけたのか、いつ風向きが変わったのか、やっぱりギャラはよかったのか……謎は謎のままである。とはいえ、その背景については、劇中でいくつかのヒントが提示されている。

ドキュメンタリー映画の前半は、6週間に及ぶリハーサルの映像を中心に構成されている。バンドマスターを務めるノエルが、久しぶりに集まったメンバーの演奏に対して真摯にディレクションを重ね、重厚なバンドサウンドが構築されていく。一方で、その中心にあるセンターマイクに立つはずの人物は不在で、「アイツは後から来る」ことが語られる。
「リアムは本当に来るのか?」「もし来たとしても、ちゃんとやってくれるのか?」「メンバー(特にノエル)との会話は成立するのか?」といった緊張が高まるなか、ついに訪れる“その日”の様子は、間違いなく前半におけるハイライトだ。だが、本当のサプライズは、その直後にギャラガー兄弟が語る内容にある。特に、当日の様子を振り返ったリアムの言葉は、それだけでも「だから今回の再結成はうまくいったのか」と思わせるには十分なものだった。

詳細はネタバレになるので伏せるが、本作を観て気づかされたのは、世界中の誰よりも、他ならぬギャラガー兄弟自身が“Oasisの復活”を願っていたということだ。それも、ただ復活すればいいわけではない。レガシーに身を任せて惰性で活動を続けていたバンド末期の状態ではなく、真っ向勝負で世界中のミュージシャンを薙ぎ倒していた“全盛期のOasis”としてである。本作を貫くのは、自身をも超越したOasisという弩級のモンスターを前に、50代にしてついに向き合う覚悟を決めたギャラガー兄弟の姿だ。

その挑戦の結果は、充実したライブ映像の数々を観れば分かるだろう。ボーンヘッドを中心とした“ウォール・オブ・ギター”と形容するべきトリプルギターの凄まじい轟音バンドサウンドは映画館の音響でこそ真価を発揮する。その中心を射抜くのは、ノエルの鮮やかなギターソロと、その兄をして「30歳の頃の歌声が戻ってきた」と唸らせるリアムの堂々とした歌声だ。UKロックの歴史が誇る最強のボーカルとギターが、見事に帰ってきたのだ。
それでも、ギャラガー兄弟には大きな誤算があった。15年以上の時を経て、Oasisというモンスターは落ち着くどころか、さらに巨大化していたのである。























