稲垣吾郎&草彅剛&香取慎吾、今を楽しむ姿勢が与える力 “終わり”を知るからこそ――出会いの奇跡を信じて歩み続ける3人

 香取慎吾が、11月14日よりスタートする展覧会『東京都美術館開館100周年記念 オルセー美術館所蔵 いまを生きる歓び』のアンバサダーを務める。就任に伴い、香取は「美術展のアンバサダーを務めるのは今回が初めてですが、『いまを生きる歓び』という、誰もが共感できる、あたたかく愛おしいテーマにとても惹かれました」(※1)とコメントを寄せた。

 自らも数多くの芸術作品を生み出すアーティストである香取。美術展のアンバサダーとして申し分ない存在だが、今回のテーマまで知ると、さらに「なるほど」と膝を打ちたくなる。『いまを生きる歓び』――この言葉をあらためて考えてみると、香取の言動そのものが、その意味を軽やかに教えてくれているように思えたからだ。

 まずは、今目の前に飛び出してきたものをそのまま楽しむということ。香取はアンバサダー就任発表の2日後である10月1日、自身のXで「おせちの予約の時なのか、今はいつだい、、いつだって、今をいきるけどね お雑煮食べたい。」と『いまを生きる歓び』をもじりながら投稿(※2)。季節を先取りするおせちの知らせに、「今はいつだい」と思わずツッコミを入れながらも、その知らせ自体を楽しんでいるようだ。そして、恒例となりつつある稲垣吾郎がディレクションするレストラン・BISTRO J_Oのおせちが、今年もまたやってくることを喜びつつ、最後は「お雑煮食べたい」と、自分の食欲まで素直に言葉にするのだ。

 世界的名画が揃う美術展のアンバサダーという大役をはじめ、大きな仕事をいくつもこなしながらも、日常の小さな知らせにも軽やかに反応する。多くの人の期待を背負う仕事をしながらも、自分自身が感じている“今”を大切にする。今この瞬間に何を感じ、どう言葉にして、誰と分かち合うのか。それは、長年活動をともにしている稲垣や草彅剛にも通じるものがあるように思った。

 稲垣が、9月28日放送のレギュラーラジオ『THE TRAD』(TOKYO FM)で、松下洸平をゲストに迎えたときのことだ。連続テレビ小説『スカーレット』(NHK総合)で共演したふたりは、セリフを“音”で覚える感覚や、芝居のなかで心地よいと感じるテンポについて語り合い、「すごいわかる気がする!」と意気投合。さらに、松下が新曲「Journey」に込めた思いとして「愛を持っていろんな人に感謝しながら、大切な人を守りながら、残りの人生を愛に溢れたものにしたい」と語ると、稲垣は「見習わないと!」「(松下が)学校にいたら絶対好きになっちゃうよね。自分が女子だったら絶対彼氏にする! 競争率高くても、何が何でも落とす!」と大絶賛。

 松下が「どの立場でおっしゃってるんですか(笑)」とツッコまずにいられなかったのは、もちろん稲垣自身が国民的スターであるからだ。芸能界で何十年も仕事をし、数えきれないほど多くの人と出会ってきたはずなのに、新しく出会った人にこれほど素直に心をときめかせ、言葉にして伝える。しかも、そこまで言い切りながらも、松下からお近づきになりたいと距離を縮められると、「さっきからね、照れてるの、僕(笑)」と恥ずかしげ。松下がブースから去ったあとも「めちゃめちゃカッコよくない? さわやかで! みんな好きだよ! 国民の彼氏だよ」と、松下との時間に心をはずませる姿が印象的だった。

 これまでにも、目まぐるしい日々のなかで、人や仕事との出会いは数えきれないほどあっただろう。けれど、年齢を重ねた今だからこそ、「今、このタイミングでこの人と出会ったこと」「今、この仕事が巡ってきたこと」を、以前とは違う角度から味わえる瞬間もあるのかもしれない。

 そんな“出会いのタイミング”について、草彅も9月27日放送のレギュラーラジオ『ShinTsuyo POWER SPLASH』(bayfm)で口にしていた。「『出会うタイミングで出会う人と出会うことが、自分の人生でいちばん大切なことだ』って、誰かがおっしゃってましたよ」と、自分の名言として押し出そうとしないところも、また草彅らしい。「違うタイミングだったら、違うことになってるからね。すべてそれの積み重ねで、私たちもこのラジオにつながってますからね」と、30年以上続いてきた番組についても思いを馳せる。そして「タイミングがよかったんだよ。出会うタイミングが。今出会ってたら、こんな長く続いてなかったかもしれない」と笑う。

 その言葉を聞いていると、彼らにとっての“いまを生きる歓び”は、単にこの瞬間を楽しむことでも、すべてが順調なときだけに感じられるものでもないのだと思った。振り返れば、彼らの歩みだって思い通りにいくものばかりではなかった。大切にしてきたものの形が変わったり、別れや終わりを受け止めなければならなかったりした瞬間もあった。ともすれば下を向きたくなるような出来事が視界を覆っても、それでも歩みを止めなかった彼らの姿を思い出す。もちろん、どんなにときが流れても「そうした出来事があったから“今”がある」などと、簡単に美談にはできない。けれど、そのしんどさを抱えたまま、それでも次へと進み続ける姿を、3人は見せてくれたように思う。

 新しく巡ってきた仕事に遊び心を添えるゆとりを持ち、魅力的な人との出会いに素直にときめく潤いを持ち、そして人生の本質を語りながらもどこか肩の力を抜いていく。そんな心の持ち方こそが、“いまを生きる歓び”を育てていくのではないか。「今日も一緒にがんばりましょう」と思わせてくれる3人は、いつしか多くの人にとって、「もう少しがんばってみよう」と前向きにさせてくれる、人生のモチベーターのような存在になっているのだろう。次に彼らが好きになる人は誰だろう? 取り組む仕事は? 面白がるものは? そう考えると、こちらまで未来が楽しみになる。そんなふうに思えることもまた、彼らが届けてくれる“いまを生きる歓び”のひとつなのだ。

※1:https://contents.atarashiichizu.com/?p=28783
※2:https://x.com/ktrsngofficial/status/2105445023982752255

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