斉藤和義が鳴らすロックの衝動 “戦争の対義語としての日常”が示す平和、『日常Days』で挑む新たな音像

斉藤和義が、前作から3年4カ月ぶりとなるニューアルバム『日常Days』をリリースした。60歳の節目を迎えた彼が今回提示するのは、あえてバラードを排し、アグレッシブなバンドサウンドと高野勲・美央ストリングスによる斬新な弦アレンジを融合させたロックな世界観だ。
目まぐるしく変化し、時に不穏な空気が漂う現代社会において、彼にとっての“日常”とは何を意味するのか。本作の制作背景や楽曲に込めた切実なメッセージ、そして全国ツアーへの意気込みについて、じっくりと話を聞いた。(編集部)
60歳の節目に刻む、ハードでロックなアルバム
ーー今年の6月22日は、60回目のお誕生日でしたね。いわゆる還暦ですが、何か感慨などありますか?
斉藤和義(以下、斉藤):いやあ、特には(笑)。60という字面を見ると、自分でも「おー、すげー」とは思いますけどね。でもまあ、単なる数字っちゃ数字なので。特に身体の不調もなく、今までどおり当たり前に過ごしてます。ギター抱えて曲を作って、家に帰って猫ちゃんと遊んで。あとは自分の好きなラジオを聴いて、ニヤニヤしたりニュースに憤ったり。大体そんな感じで。
ーー3年4カ月ぶりのアルバム『日常Days』は、まさにタイトルどおり、2026年を生きる斉藤さんの肌感覚がギュッと詰まった内容だと感じました。全11曲、言葉も音像もすべて生々しく迫ってくる印象で。
斉藤:おお、そうですか。だったらよかった。
ーー制作にあたって、コンセプトとか方向性のようなものはありましたか?
斉藤:いや、結局そういうのはなかったかな。ここ数作はほぼ同じプロセスなんだけど、考えるよりまず手を動かすっていうか。自宅なり自分のスタジオで、とりあえずギターを鳴らしたりドラムを叩いたりしてみてね。そうやってリフやフレーズの断片を録っていくと、あるとき「ここ広げると曲になるかも」というポイントが見えてくるんですよ。それを起点に、ひとつずつ曲を増やしていった感じです。

ーーそうやってアルバム用に作った6曲と既発シングル5曲をミックスして、ひとつの流れを構築したと。
斉藤:はい。ひとつだけ、今までのアルバムと決定的な違いがあるとしたら、バラードは入れないって決めてたことですかね。愛とか恋とかにまつわるミディアム系のナンバーは、今回はいいかなって。
ーーへええ、それはどうしてでしょう?
斉藤:単純にそういう気分じゃなかったのと、あとはここ数年、岡村和義(岡村靖幸と結成したユニット)の活動でけっこう切ない恋愛ソングを作ってるので。そっちで満たされちゃった部分もあったかもしれません。いずれにしても、切ない情感よりはむしろハードでザクッとした質感のね。一聴してロックっぽい仕上がりにしたかった。だから収録曲数も、当初10曲って決めてたんですよ。結果的には1曲多くなりましたが、一気に聴き通せる勢いとか凝縮感は出てるんじゃないかなと。
ーーもしかしてそこには世相も影響してるんでしょうか? というのは私自身、この数年で世界が加速度的にきな臭くなっている印象が強くて。
斉藤:ああ、うんうん。




















