「両極端なことをやれば最強になれる」 HANAを支えるギタリスト 小金丸慧、極めたメタル道 出会いが変えていく人生

高円寺百景、入江陽、さとうもか、在日ファンク……変わっていく自身の在り方

――ジャズ系のギタリストだと、どんな人から影響を受けましたか?
小金丸:ウェイン・クランツが大好きで、めちゃくちゃ影響を受けました。日本でも何度も観てるし、ニューヨークにも観に行って、55 Barで間近で観たり。あとは、ニューヨークでギラッド・ヘクセルマンにレッスンを受けたこともあります。
――ニューヨーク的な、ジョン・ゾーン的な方向で言うと、高円寺百景や是巨人といった吉田達也さんのバンドにも参加されていますね。
小金丸:大学内の講師で水谷浩章さんという、今堀恒雄さんとティポグラフィカをやってたベースの先生がいて。その人のレッスンとか授業を受けてたんですけど、それは“ジャズ”というジャンルの概念じゃなくて、五連符とか七連符とか、ポリリズムのレッスンで。そこでドラムの秋元と一緒に「数字を極めよう」って、奇数連符やらポリリズムやらをひたすら練習室でふたりで怪しく練習してたのが、アバンギャルドな音楽にのめり込むきっかけでした。その過程で吉田さんのやっていた高円寺百景や是巨人といったバンドも深掘りしていきました。
原朋直さんっていうトランペットの先生がいて。大学3、4年になって「いよいよジャズを学ばなければいけない」という気持ちで原さんのレッスンを受けていたんですけど、原さんの奥さんが高円寺百景のサックスの方だったんです。そこから、大学卒業後ですが「高円寺百景が新しいギタリストを探している」という話を聞いて、2017年に加入しました。自分のプレイを認めてくださったのが吉田さんであり、その周りの人たちだったのはめっちゃ嬉しかったです。その頃に出会った方たちはキーマンというか、皆さんのおかげで今の自分がある感じがします。
――Mysterious Priestessが停滞してしまって以降、活動はどう変化していきましたか?
小金丸:一時期は何もすることがなくなって、ひたすら曲ばっかり書いてました。でも、そうしたら「これだけやっていればいいじゃん」みたいになっちゃって。もうギターも弾かなくていいし、人に演奏してもらう方が幸せかもしれないから、打ち込みだけして生きていこうと思っちゃって、Mysterious Priestessでもギターを弾かずにただPCから音を出して、叫んでいただけのときがあったんですよ。でも、その頃に伊吹くんがライブを観にきてくれて、「マルはギターを弾いた方がいいよ」って言ってくれたんです。「確かにそうだよな」と思えましたね。人に言われたり誘われたりして、意識が変わることも多いです。自分の輝くところが自分でわかっていなかったので、人に言われて気づくタイミングが何度かありました。

――サポートをするようになるのはいつ頃からですか?
小金丸:それまでスタジオミュージシャンとかサポートミュージシャンにはまったく興味がなくて、「俺はただメタルを突き進む人間だ」と思ってたんですけど、伊吹くんはあいみょんのサポートをやっていたり、周りの友達が日本のポップスを支えるような人になっていくのを見て、ちょっと焦りもあったのかな。自分も「歌う人のサポートをやってみたい」と思って、わりと初期にサポートをやったのは入江陽さんとさとうもかさん。ふたりともアバンギャルドな人間を迎え入れてくれるようなサウンドだったから、心地よくプレーさせてもらえて。で、そのあとに伊吹くんからthe chef cooks meのサポートを紹介してもらって、そこから今に至る道が開けた感じがあります。
――the chef cooks meを通じていろんな人と知り合ったり、「うちでも弾いてよ」みたいに声がかかるようになった?
小金丸:そうですね。一生『ロッキン』(『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』)とかに出るような人間じゃないと思ってたんですけど(笑)、「そういう自分もいいな」みたいに思えるようになってきて。それは今堀恒雄さんという、ロールモデルというか、目標にしてる人がいたからで。今堀さんはすごくアバンギャルドなことをやってるのに、井上陽水さんとか菅野よう子さんとか坂本真綾さんとか、大衆的な音楽もかっこよく表現できる人で。そこにめちゃくちゃ憧れがあったので、「俺も頑張ろう」と思えたんですよね。
――小金丸さんの最近のXのポストを見ると、「HANAのライブありがとうございました」のあとに「次の是巨人のライブはこれ」みたいな感じで、それがめちゃめちゃ面白いなと思って(※1、2)。
小金丸:昔からそういうものを求めていたかもしれないですね。ある意味「真逆のことをやる」っていう。メタルとジャズもそうだし、HANAと是巨人もそうかもしれない。極端な性格だし、そういう自分が割と好きだったりもするんですよね。
――2024年に在日ファンクに加入したのはどんな経緯だったんですか?
小金丸:廣瀬真理子とパープルヘイズっていうビッグバンドに参加していて、そのトランペットが在日ファンクのメンバーでもある村上基さんだったんです。2023年末ぐらいに急に電話がかかってきて、誘っていただいて、最初はみなさんとセッションをして。それまでファンクは一切通ってなかったんですけど、とにかくJB(ジェームス・ブラウン)を聴いて、シンプルな単音でペケペケなギターを弾いて、意外とフィジカル的にうまくいくなって感じたんですよ。メタルの16分のフィールと、ファンクの16分のフィールと……全然違うけど、でも精神性は一緒というか、ずっとキープしてる感じとか全く苦じゃないし、手前味噌ながら、意外といけるなと思ったんです。で、そのセッションをした当日にみんなで飲みに行ったときに、僕が何を頼むのか見てたら、いきなり生ビールのメガジョッキを頼んだのが加入の決め手の一部だったらしいです(笑)。
――在日ファンクに加入して、音楽的にも人脈的にも、開けた部分がきっとあったでしょうね。今日もたまたまテレビをつけたらハマケン(浜野謙太)さんが『ラヴィット!』に出てたんですけど、ハマケンさんのような人のショーマンシップを間近で見れるのも大きいですよね。
小金丸:間近でそういう人とやることは今までなかったというか、「とにかく俺の音楽を聴け」みたいなバンドをずっとやってきたけど、ハマケンさんはそういうところを通り越して、なんなら世界平和とか、そこまで見据えたようなショーをやる人で。かなり影響されました。「こんなでっけえ器の人がいるんだ!」みたいな。でも、ちゃんと話してみると、ちょっと似たようなアンダーグラウンド精神もあって。
――もともとSAKEROCKのメンバーで、インディとかアンダーグラウンドな世界にも理解のある方ですもんね。
小金丸:そうですね。そこは似通った部分というか、勝手にシンパシーを持ってます。



















