Daoko×TeddyLoid『転スラ』主題歌で炸裂するシナジー 出会いから十余年、互いの成長が結実した「TACTIC」

熱が出るくらい作品と向き合ったーー『転スラ』の世界に似合う言葉を求めて
――今回の「TACTIC」は、Gigaさんも参加されていますね。GigaさんとTeddyさんは、制作上どのように役割を分担しているんですか?
TeddyLoid:毎回きっちり役割を分けているわけではないんですよ。その曲にとって一番いいアイデアを出した方が、その方向性を二人で伸ばしていくような作り方が多い。僕は特に、サウンドデザインや空間の演出、世界観やテーマを最初に組み立てることが多いです。その上で、Gigaちゃんはキャッチーなメロディやフック、構成を生み出す力が本当にすごい。お互いの得意分野を理解しているので、その曲に応じて自然と役割が決まっていく感じなのかな。今回は実際に会って作ったわけではなくて、プロジェクトファイルを交換しながら制作しました。僕が海外へDJツアーに出ることが多いので、最近はそういう作り方が多いですね。レコーディングは3人で一緒にやりましたけど。
Daoko:以前も3人で「アクト feat. Daoko」を作ったんですけど、その時はお二人の企画に呼んでいただくような形で。初めてでしたけど、リリックは比較的スルスルと書けたんです。今回は、本当に難しくて。アニメタイアップは、アニメと楽曲の間に立つものだと思うんです。そういう意味で、頭から熱が出るくらい作品と向き合いました。言葉を探すことにも相当力を入れましたし。

――今回、二字熟語をたくさん使われていますよね。
Daoko:そうなんです。少し目新しい言葉や、自分がかっこいいと思う言葉を、とにかく詰め込んでいった。ただ、それを音にきちんとはめなければいけない。意味と韻を両立させるのが難しかったですね。発音もキャッチーなほうがいいと思うので、実際に発音した時に気持ちいい言葉を選んでいきました。
――『転スラ』サイドから、歌詞に関してもオーダーはあったんですか?
Daoko:そうですね、いくつかキーワードをいただいていました。その中には「欲望」のような、エネルギーの強い言葉がたくさんあって。自分が普段、自発的にはあまり扱わない感情や題材だったんですよ。だから、かなりアニメの世界へ入り込んで、その世界に似合う言葉を探す工程に時間をかけました。普段は使わないジャンルの言葉を探すために、本もたくさん読みましたね。原作小説ももちろん読み込んだし、それに加えて、いろいろな資料を集めて。
――リリースされてから、楽曲の反応で気になったものはありますか?
Daoko:YouTubeのコメントを見ていると、海外の方から、曲の冒頭について「レゲトンだ!」という反応がすごく多く届いているんですよ。地域によっては、あの部分がすごく刺さっているんだと分かったのが面白かった。ラテン音楽を聴いている層が、自分のファンの中にも結構いるんだと分かりました。アニメに対する反応と同じくらい、レゲトンを取り入れたことに感動している方もいて。そういう要素を持ち込んでくれたTeddyさんたちにお願いしてよかったと思ったポイントでした。それから、イントロも少し独特な入り方をしていると思うんですけど、あそこは打ち合わせの時に私からリクエストしたんですよね。『地獄先生ぬ~べ~』のオープニングのような、ちょっと奇妙な入り方が好きなんです、という話をして(笑)。
TeddyLoid:そうそう。僕も『地獄先生ぬ~べ~』がすごく好きで、あのオープニングはやばいよなと思ってたので。シンセサイザーの音を鳴らして、そこにピッチベンドという、音程を上下させるパラメーターを使っています。数値を入力して、オートメーションで音程がグイーンと上がっていくカーブを描くことで、あの音を作った。
Daoko:あのイントロにもグッときてくださっているリスナーがいて。
TeddyLoid:うれしい。Daokoちゃんの設計図がよかったのかも。
――Teddyさんは、J-POPフィールドにおけるダンスミュージックを作られている人として中心的な存在ですよね。ご自身の中で「J-POPを作っている」という自覚はありますか?
TeddyLoid:もちろん、J-POPを作っているという意識はあります。その上で、このジャンルにおける日本代表という気持ちでやっています。そういう枠組みで考えていますね。日本でメジャーな音楽、ポップミュージックを作っている以上、僕はJ-POPの枠組みに入ると思うんです。その上で、日本から世界へ向けた代表というつもりで、サウンドを意識して作っています。アニメ文化やサブカルチャー、インターネットミュージックは、今の日本が世界に誇れる大切な文化ですよね。もちろん国内のリスナーに聴いていただくことも大切ですけど、海外の方々にも聴いてもらうことを前提に、今は作っていますね。通常の形で楽曲をリリースするのと、アニメ作品を通してリリースするのとでは、やっぱりリーチが違う。世界中の方に聴いていただける機会が増えるので、そこは意識します。そこにDaokoちゃんのようなアーティストが旗を振って乗り込んでいってほしいんですよ。日本が誇れるアーティストとして。そもそもDaokoちゃんは、メジャーのど真ん中からすごくインディペンデントな場所までを自由に横断しているアーティストじゃないですか。そこがすごいと思うし、自分も少しシンパシーを感じている。役割は違いますけど、似ているところがある。
――Teddyさんは、最近のダンスミュージックやエレクトロニックミュージックについて気になっている動きはありますか?
TeddyLoid:ここ数年、ダンスミュージックの中でも、派手さより質感やグルーヴを重視する流れを強く感じてるんですよ。あと、今またブロステップが盛り上がってきているので、そういう流れも再び来るのかなと気になってたり。ただ僕自身は、ジャンルを意識するというより、その時代ならではの空気感をどう自分の作品に落とし込み、それを日本だけでなく海外へどう広げていくかを考えてます。
――国内のダンスミュージックとしてはどうですか?
TeddyLoid:ジャンルの境目がなくなってきてます。J-POPもボカロもダンスミュージックも、かなりフラットにつながってきている。特に、自分より若い世代のクリエイターと接していると、「これはEDM」「これはロック」と分けるような発想自体がないんですよね。海外と比べても、日本独自のハイブリッドな音楽が増えている印象があります。
――最近のDaokoさんはいかがですか? 以前、最近またネットカルチャーやボカロ系クリエイターとの距離が近くなっているとおっしゃっていましたけど、今はいかがでしょう。
Daoko:今も右肩上がり(笑)。若い世代のボカロPはもちろん、映像を作っている方々との交流も増えていて、かなり刺激的ですね。面白い人が多くて、新しい世代を感じています。イベントで声をかけていただくことも結構あって、「学生の時に聴いていました」と言ってくださるんですよ。本当に下の世代というか、今20代前半くらいの方々との交流はとても楽しいですね。
――最近のボカロPで、特に注目している方はいますか?
Daoko:最近一番聴いているボカロPだと、電ǂ鯨さん。私は本当にかなり心酔していて、もはや「神」という感じ(笑)。昨年発表された『くらしアソート』というアルバムが素晴らしすぎて。去年は本当に、そのアルバムをどれだけ聴いたか分からないくらい。最近の方だと、いのうつはSAさん、という方もいます。この間、イベントでご挨拶させていただきました。かなりお若そうだったんですけど、楽曲のアプローチや映像的なアプローチも含めて、すごく今っぽい方だと思いました。とてもいい曲を書かれる方で、面白いですね。
――さすが、即答ですね(笑)。
Daoko:でも、ボカロは作品数自体が多いので、全然追い切れてないですけど。まだ聴けていなくて、楽しみにしている曲もたくさんある。
TeddyLoid:Daokoちゃんのディグ力はほんとにすごいですよね。
Daoko:局所的ですけどね(笑)。
――Teddyさんは、普段ボカロシーンをどのようにチェックしていますか?
TeddyLoid:友人の曲をリミックスしている海外クリエイターが結構いるので、そういうリミックスを聴くことはあります。直接音源が送られてきて、聴いてほしいと言われることも多いです。実際に聴いて、よかったらDJでプレイすることもありますね。ボカロで今一番好きなアーティストは、近い仲間でもあるTAKという韓国のクリエイター。もともとは有名なK-POPグループの作曲を手がけていた人なんですけど、最近はボカロ曲も作ってて、日本のシーンに挑戦しています。サウンドも曲もすごくかわいいんですよ。K-POPではものすごくかっこいいサウンドを作るんですけど、ボカロではすごくかわいい曲を作っているという、そのコントラストが面白い。
――Gigaさんも含めて、今後やってみたいことや作ってみたい曲などの構想はありますか?
TeddyLoid:この間、久しぶりにDaokoちゃんと海外で一緒にライブをすることができて。今回また新曲も作れたので、ぜひステージでも共演したい。
Daoko:一緒にステージを重ねていくことで、次にどういう曲を作りたいかも浮かんできそう。
TeddyLoid:Daokoちゃんに加えて、もう一人誰かを迎えて作るのも面白そうだよね。
Daoko:面白そう!
■リリース情報

「TACTIC」
配信中
配信リンク:https://uniera.lnk.to/TACTIC
作詞:Daoko
作曲:Giga & TeddyLoid
編曲:Giga & TeddyLoid
■タイアップ情報
『転生したらスライムだった件 第4期』
公式サイト:https://www.ten-sura.com/anime/tensura
■関連リンク
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