Daoko×TeddyLoid『転スラ』主題歌で炸裂するシナジー 出会いから十余年、互いの成長が結実した「TACTIC」

TVアニメ『転生したらスライムだった件 第4期』オープニング主題歌 第二弾として生まれた、Daoko、TeddyLoid、Gigaによる「TACTIC」。レゲトンからドラムンベースへ大胆に切り替わる構成、作品世界へ深く潜りながら選び抜かれた言葉が、目まぐるしくも鮮やかな一曲を形づくっている。DaokoとTeddyLoidの出会いは、2014年発表の「ME!ME!ME!」にまで遡る。その後も「ダイスキ with TeddyLoid」、Gigaを交えた「アクト」などで個性をぶつけ合ってきた二人は、この十余年で互いに何を磨き、今回の三者での制作にどう生かしたのか。
アニメ音楽が国境を越え、日本のポップミュージックやインターネットカルチャーが世界から注目される現在地から、ジャンルの境界が溶けつつある音楽シーン、若いクリエイターとの交差、そして次なるコラボレーションの展望まで、二人に語ってもらった。(つやちゃん)
「Daokoちゃんは一際目立っていて」ーー二人の出会いを振り返る

――お二人が出会って一緒に曲を作るようになった経緯をうかがいたいです。
TeddyLoid:僕がまずDaokoちゃんのことを知ったのは、まだインディーズで、ニコニコ動画を中心に活動していた頃。その時に、奇抜なリリックと、日本では聴いたことがないようなーーいや、世界的に見ても聴いたことがないようなフロウに衝撃を受けて。すごいかっこいいラッパーだな、と思ったのが最初でした。
Daoko:私も高校生の時にTeddyさんを知ったのかな。ラップを始めたのが高校1年生だったので、本当に始めたばかりの頃にTeddyさんと出会っていますね。「ME!ME!ME!」がきっかけで。LOW HIGH WHO? PRODUCTIONというインディーズレーベルに所属していた時期で、「ME!ME!ME!」は『日本アニメ(ーター)見本市』の作品でしたよね。
TeddyLoid:そうでした。「ME!ME!ME!」は、そもそも作品の監督を務めた吉崎響さんと僕がクラブイベントで知り合ったことをきっかけに生まれた曲で。当時、たしか渋谷WOMBだったと思うんですけど、DJとVJがコラボレーションする企画があったんです。そこで僕のDJセットに合わせて吉崎監督が映像を作ってくれて、意気投合しました。「ME!ME!ME!」を作っていく中で、「シンガー・ラッパーは誰にしようか」という話になった時に、僕の中ではDaokoちゃんしかいなかったんですよね。当時、KOHHくんをはじめ周りにもラッパーはたくさんいたんですけど、その中でもDaokoちゃんは一際目立っていて、本当にオリジナリティのあるアーティストだったので、この子となら新しいものが作れそうだと思ってたんですよ。

――その後TeddyさんとDaokoさんは「ダイスキ with TeddyLoid」も共作されていますね。今回また「TACTIC」でご一緒されて、最初のコラボから考えるとかなり時間が経っていますが、お互いに「ここが変わったな」と感じたことはありましたか?
TeddyLoid:僕自身、「ME!ME!ME!」や「ダイスキ」の頃は、今まで誰も聴いたことがない音を作ることにすごく夢中だったんです。でも今はそれだけじゃなくて、何年経っても聴き返したくなる作品を作ることだったり、今回で言えばアニメ『転生したらスライムだった件』という作品があるからこそ成立する楽曲を作ることにフォーカスするようになりました。経験を積んできたことで、一つひとつの音にちゃんと意味や魅力を持たせることを大切にするようになった。それに、Daokoちゃんもすごく進化しましたよね。最初に出会った頃は、本当に尖っていて強烈なオリジナリティを持ったアーティストという印象でした。その後いろいろな作品を作りセッションを重ねていく中で、どんな楽曲でも、自分の色で乗りこなせる人になっていった。だからこそ幅広い楽曲が作れるようになったし、「アクト feat. Daoko」でGigaさんも交えた3人で制作した時も、全部を埋め尽くすのではなく少し空間を残してDaokoちゃんの声が抜けるようなアレンジにして。作品ごとに新しいチャレンジができていると感じています。
Daoko:変化してきた自覚はあります。当時は周りを見渡す余裕もなくて、ある意味それが尖りにつながっていた部分もあったと思う。メジャーデビューしてから音楽のこともいろいろ知るようになって、世界ってこういうものなんだと理解できるようになった。最近は以前より物事を俯瞰して見られるようになってきたし、いろんな人と一緒に作品を作っていく力も身についてきた気がします。技術的にも、「もっとこうしたい」というイメージが浮かぶようになったんですよね。
TeddyLoid:僕はいろんなプロジェクトで、自分らしい色に変換したうえで作品を世に出すのが得意だと思ってるんですけど、Daokoちゃんもそうだと思う。どんな曲でも、Daokoが歌うとDaoko色になるんですよ。でも、楽曲のルールやマナーはちゃんと守った上で、自分の色に染めていく。そのバランス感覚がうまいですよね。
――それはすごく分かります。Daokoさんは今のお話を聞いてどうですか?
Daoko:ありがとうございます(笑)。Teddyさんは、サウンドの構成もそうですし、音の質感も含めて、本当にTeddyさんの作品でしか聴いたことがないようなサウンドクリエイティブをされますよね。しかも、どんどん洗練されていく感じがある。
――今回の「TACTIC」はどのように始まったんですか?
Daoko:最初に『転スラ』サイドから私へオファーをいただいて、誰と一緒に曲を作ろうかと考えた時に、まず思ったのが、「作品の世界観からあまりにも突飛なことはしたくない」ということでした。『転スラ』は長い歴史のある作品なので、その世界観の延長線上にありながら、私なりの解釈を加えたオープニングを作りたいと思って。そのイメージを実現してくれそうな方として、真っ先にTeddyさんが浮かんだんですよ。
TeddyLoid:僕は『転スラ』って、単にバトルが熱い作品ってだけじゃなくて、人との信頼や仲間との絆、戦略が物語を動かしていく作品だと思ってるんです。だから、「TACTIC」というタイトルにもあるような、知性や駆け引きを音で表現できたらいいなと思って制作を始めました。
――駆け引き! とはいえ、音で表現するには難しそうなテーマですよね。
TeddyLoid:最初はレゲトンっぽいハーフタイムのビートで始まるんですけど、サビでは一気にドラムンベースへ展開します。その構成によって、緊張感から一気に解放される感覚を表現したかったんですよ。
――そもそも、この多様なビートを一曲につなげるのがすごく難しかったのでは。
TeddyLoid:そうなんですよ。『転スラ』自体がそういう展開のある作品なので、楽曲もそういう構造にしたいと思って工夫して。アレンジも色々と試しました。例えば最初から速いビートで始めるパターンも試したんですけど、最終的には今の構成に落ち着きましたね。
Daoko:構成が面白いですよね。新体験、新感覚の楽曲。事前に打ち合わせさせていただいた内容も、すべてクリアしてくださって。まずはその技術に感動しました。



















