音楽シーンを席巻する“平成リバイバル”の波 UNIS『UNI☆Sparkle!』が表現したポップカルチャーの最先端

ここ数年、“平成リバイバル”は単なる流行語の域を超え、ひとつのカルチャーとして定着しつつある。特徴的なのは、それを牽引しているのが平成期をリアルタイムで経験していないZ世代である点だ。彼らにとって平成とは懐かしむ対象ではなく、“新鮮な過去”であり、自由に引用し再構築できる素材に近い。ファッションではY2Kスタイルが再評価され、ブランドロゴ入りアイテムの人気が加熱。ゲーム「たまごっち」、キャラクター「しずくちゃん」などもアイコンとして再流通している。また、「写ルンです」や普及初期のデジタルカメラのような粗い画質やフラッシュの強い写真が支持される現象は、単なるレトロ趣味を超えて解像度が高くなりすぎた現代のビジュアル環境に対するカウンターとも言えるだろう。不完全さや偶然性が“リアルさ”として再定義されていると言える。
このように“再編集された平成”は音楽シーンにも広がっている。音楽特番における平成アーティストの再登場は、単なるノスタルジー消費にとどまらず、「いま聴くと新しい」という再評価の文脈を伴っており、最近話題になった『ラヴ上等』(Netflix)でもglobeやSPEEDの楽曲が主題歌として使用されていた。TikTokではHALCALI「おつかれSUMMER」、MONGOL800「小さな恋のうた」など平成のヒット曲がリバイバルで人気を得ている。これらの楽曲は当時の記憶を喚起するだけでなく、“空気感を運ぶメディア”として再利用されているようだ。
K-POPシーンにまで飛躍する平成カルチャー
さらにこの現象は日本国内にとどまらず、グローバルなポップシーン、特にK-POPにも影響を与えている。韓国ではもともと“ニュートロ”と呼ばれる昔のカルチャーを現代風に最解釈するトレンドが続いており、90年代〜00年代の韓国/欧米/日本のカルチャーが素材とされているが、特に近年は文化的な制約がなくなり幼少期から日本文化に親しんできた韓国の20〜30代にとっても馴染みのある“平成女児カルチャー”“ガールズカルチャー”にヒントを得ていると思われるものが目につきやすくなっている。また、90年代は日本の“KAWAIIカルチャー”が欧米のセレブリティやアーティストからも注目を受け始めた時代でもあり、洋楽的なフィルターを通した日本の平成カルチャーもリバイバルのソースとしては存在するだろう。
BLACKPINKのJENNIEは、シングル「You & Me」にて『美少女戦士セーラームーン』の武内直子をジャケットにフィーチャーした。韓国では『満月をさがして』が根強い人気を誇る種村有菜をミニアルバム『Blooming Wings』のジャケットに起用したYENAは、魔法少女等より直接的な平成女児カルチャー的リファレンスを取り入れている。KiiiKiii「404 (New Era)」に引用されている初期デジタルポップ的な質感や、日本オリジナル楽曲であるがaespa「Hot Mess」における過剰なテンション設計は、2000年代的なポップの構造を現代的に翻訳したものと言える。
また、最初から日韓同時活動を目指して結成されたNCT WISHのビジュアル周りのクリエイションは、日本の平成女児カルチャー的なテイスト積極的に取り入れており、数年前からK-POP界隈を超えて韓国の若者のあいだで“ウィッシュコア”と呼ばれ人気となっている。7月にリリースしたばかりの日本シングルではTRF「BOY MEETS GIRL」をカバーし、両A面の「YO-I-DON!」はパラパラを想起させるユーロビートをK-POP的なフィルター通して再解釈したような新鮮さがある。
あらゆる時代から良いと思うものの断片を集めてスクラップしていくようなSNS時代の感性では「どれだけ忠実に再現するか」よりも、「どの要素を抽出し、いかに再配置するか」が重要になっており、平成リバイバルはすでに参照可能なスタイルの一種として、国境を越えて共有され始めているということだろう。
UNIS×平成で提示される“現在進行形の体験”
こうした文脈のなかで、7月31日にリリースされたUNISの日本1stミニアルバム『UNI☆Sparkle!』はかなり示唆的な作品と言える。本作が興味深いのは、平成的要素を単なる一部の引用としてではなくアルバムの核に据えている点だ。きらびやかなシンセサウンドや過剰にポップなメロディラインは確かに平成的だが、それらはノスタルジーを喚起するためだけの装置ではない。むしろ、“今鳴らすべき音”として再構築されている。そこで重要な役割を果たしているのが、“イノセントな青春感”だろう。多くの平成リバイバルにはどこか距離を保った引用や批評的視線を含むことがあるが、UNISの楽曲は極めてストレートに感情を提示しており、この態度は、過去を“現在進行形の体験”として提示することにつながっている。
アルバムジャケットや「ギミサマ☆」のMVで披露されている制服姿はまさしく青春の象徴であり、それぞれに“平成”を取り込んだメンバーの着こなしも相まって、視覚的要素でも楽曲の世界観を後押し。結果として、リスナーは懐かしさではなく、“今この瞬間のきらめき”として音楽を受け取りやすいのではないだろうか。
また、アルバム全体に通底する過剰なまでのポップネスや情報量の多さは2000年代のJ-POPに見られた特有の美学を想起させるが、韓国でも今も人気のある『しゅごキャラ!』『シュガシュガルーン』といった“平成女児アニメ”の主題歌特有の弾けるようなポジティブさも感じる。それらの要素が現代的なプロダクションによってアップデートされている。この“過剰さの肯定”こそ、均質化されがちな現代のポップミュージックに対するひとつの応答とも言えるだろう。
さらに、本作を象徴する試みとして注目されるのが、“ズッ友”“心友”といったフレーズで00年代の女子学生のあいだで爆発的に流行した平成を代表する人気IP『一期一会』(株式会社マインドウェイブ)とのコラボレーションによる「ギミサマ☆」のリリックビデオである。まさに「ザ・青春!」と言える平成カルチャーの象徴的記号を取り込みつつ、トレンドを借りるだけではなく自分たちの表現に変換している。
平成リバイバルが過去を懐かしむだけの行為ではなく、過去を素材として現在を更新する営みだとするなら、『UNI☆Sparkle!』はそのなかで引用と創造のバランスを高い次元で成立させている。楽しくキャッチーに曲を楽しむと同時に、「今のポップカルチャーがどこへ向かっているのか」をわかりやすく体感しやすい作品と言えるのではないだろうか。
■リリース情報
『UNI☆Sparkle!』
発売中
配信リンク:https://nex-tone.lnk.to/UNI_Sparkle
<収録内容>
01. ギミサマ☆
02. BBYBBY
03. もしもし
04. 幸せになんかならないでね
05. SWICY - Japanese ver.
<商品情報>
・通常盤(CD+トレーディングカード)
品番:ABMT-001
価格:2,200円(税込)
トレカ1枚ランダム封入(ユニット全21種)
購入ページ:https://tower.jp/item/8056010
・初回限定 TYPE-A(CD+トレーディングカード)
品番:ABMT-002
価格:3,300円(税込)
限定トレカ4枚ランダム封入(ソロ全7種)
スリーブケース仕様
購入ページ:https://tower.jp/item/8056011
・初回限定 TYPE-B(CD+トレーディングカード)
品番:ABMT-003
価格:3,300円(税込)
限定トレカ4枚ランダム封入(ソロ全7種)
スリーブケース仕様
購入ページ:https://tower.jp/item/8056012
<タワーレコード限定特典>
対象販売店舗にてイベント参加対象商品1会計ごとにつき、エリア別トレーディングカードを1枚プレゼント(全4種・各8枚)
※配布されるトレーディングカードの種類はエリアによって異なる(大阪、愛知、神奈川、東京・埼玉)。数に限りがある。
■関連リンク
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