米津玄師、大森元貴、Official髭男dism、SUPER BEAVER……感動や興奮を増幅する、珠玉の映画主題歌

 映画の主題歌は、物語の感動や興奮を増幅させる力を持つ。今年も、映画のテーマと深く結びついた主題歌がいくつも生まれてきた。

 7月17日に公開を控える『キングダム 魂の決戦』の主題歌は、米津玄師の「夜鷹」。本曲を使用した予告映像が解禁されるやいなや大きく話題を集めた。シリーズ5作目となる『キングダム 魂の決戦』で描かれるのは、秦国と楚・趙・魏・韓・燕・斉の六国による大攻防戦。「夜鷹」では、そんな秦国存亡をかけた運命の決戦の幕開けを告げるようなイントロがゆっくりと響き、そこから壮大なスケールのサウンドが広がっていく。〈僕らは夜鷹〉〈お前が言うなら ただ願うなら全ては叶うだろう〉というサビのフレーズは、戦乱のなかでも自らの信じる道を貫こうとする登場人物たちの姿を想起させる。夜の闇をたくましく飛ぶ夜鷹のように、孤独や痛みを抱えながらも前へ進み続ける人間の強さが描かれた一曲だ。

夜鷹 - Yodaka

 難病を抱えるシングルマザーと人生の岐路に立つ息子の親子愛を描いた映画『90メートル』には、大森元貴の「0.2mm」が主題歌として寄り添った。“90メートル”の意味は作品内で明かされるが、同じように何かの距離や大きさを表していると想像させる「0.2mm」という楽曲タイトルもまた印象的。そんな“0.2mm”について、大森は受精卵の大きさをイメージしたと語っている(※1)。人は小さな存在から始まり、長い時間をかけて誰かとの絆を育みながら生きていく。そして、親子の関係も、その奇跡的な命の始まりから成り立っているものだ。〈ただいま〉〈おかえり〉と言葉を交わす何気ない日常の風景を描きながら命の原点へと視点を広げることで、人と人との繋がりの尊さをリスナーに感じさせる。素朴なサウンドと大森のそっと語りかけるような歌唱も、当たり前の日々が決して当たり前ではないことを優しく伝えてくれるようだ。

Motoki Ohmori – 「0.2mm」Official MV

 地下鉄脱線事故で亡くなった青年の家族のもとに20年越しに届いたラブレターを巡る実話に基づいた映画『人はなぜラブレターを書くのか』の主題歌は、Official髭男dismの「エルダーフラワー」。藤原聡(Vo/Pf)は喉の療養中にエルダーフラワーのハーブティーに救われた経験から、この花に抱いた“人を思う心の象徴”というイメージを楽曲へ落とし込んだという(※2)。映画で描かれているのは、誰かの存在を胸に抱き、受け取った想いを未来へ繋いでいこうとする人々の姿だ。〈あなたたちが綴るこれからの物語が/進むに連れて 続くに連れて 実る想いは/ただ永遠に愛〉という歌詞は、想いが時を超えて受け継がれ、新たな人生を照らしていく映画のメッセージとも重なる。穏やかなサウンドに乗せて、思いやりや純愛を静かに描いた本曲は、誰かを想うことの尊さをより深く観る人の心へと届けてくれるのだ。

Official髭男dism - エルダーフラワー [Official Video]

 『新劇場版 銀魂 -吉原大炎上-』の主題歌は、SUPER BEAVERの「燦然」。〈日和見〉といった古風な日本語や〈お天道様が見ているって〉〈背筋を伸ばして ツラに光を当てる〉などの登場人物のセリフを連想させるような歌詞も、作品へのリスペクトを感じさせ、同時に『銀魂』の世界観を映し出す。「燦然」は鮮やかに光り輝く姿を意味する言葉だが、作り手の柳沢亮太(Gt)は小さな種火が集まってやがて大きな炎になっていくイメージを重ね、それは『銀魂』だけでなくSUPER BEAVERが歩んできた道のりともリンクするとリリース時に語っていた(※3)。仲間を信じて何度でも立ち上がる『銀魂』の物語と、愚直に音楽を鳴らし続けてきたバンドの姿勢が共鳴したからこそ、この曲には強い説得力が宿っている。映画の熱い人間ドラマを投影し、その炎をさらに燃え上がらせるようなエネルギッシュなロックナンバーだ。

SUPER BEAVER「燦然」MV (『新劇場版 銀魂 -吉原大炎上-』主題歌)

 スクリーンを離れたあとも、聴くたびに作品の感動を蘇らせる映画主題歌。2026年もまた、音楽と映画の化学反応が多くの人の心を動かしている。

※1:https://www.youtube.com/watch?v=OWTnh0LSIpE
※2:https://www.youtube.com/watch?v=oPBpqo9xmL0
※3:https://www.tfm.co.jp/lock/beaver/49901

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