The xxの帰還、安定の平沢進、謎の覆面デュオ Angine de Poitrine参戦……『フジロック』時代を彩る注目ラインナップ

 いよいよ7月24日〜26日の開催が目前に迫った『FUJI ROCK FESTIVAL 2026』(以下、フジロック)。一部券種のソールドアウトなど、すでに当日の活況が目に浮かぶところだが、待望のタイムテーブル発表を受けて、今のうちから何を見ようか頭を悩ませているという人も多いだろう。本稿では、筆者がピックアップした今年の『フジロック』の注目アクトをお届けする。

 『フジロック』の新たな時代を彩る、フレッシュなヘッドライナーたち

The xx - On Hold (Official Video)

 まずはやはり、今回初のヘッドライナーを務める2組から始めたい。今年4月に約8年ぶりのバンド活動の再開を果たし、『コーチェラ』(『Coachella Valley Music and Arts Festival』)でもヘッドライナー級の存在感を示していたThe xxの帰還は、きっと多くの人々が待ち望んでいた瞬間なのではないだろうか。ダブステップ以降の音像をベースに、雄大で幻想的なサウンドスケープへと拡大してみせた同バンドのスタイルは、間違いなく2010年代以降の音楽シーンに絶大な影響を及ぼしている。充実した各メンバーのソロ活動を経て遂に前線へと帰ってきたThe xxのステージは、きっとこの上なく幸福感に満ちた空間になることだろう。

Khruangbin - White Gloves ii (Official Video)

 2022年以来となる来日で、遂に2日目のヘッドライナーとして出演を果たすKhruangbinも、その事実に(発表から数カ月を経た今でも)嬉しくなってしまう。タイファンクをルーツにサイケデリックロックや世界各地の音楽を融合した独自のサウンドは、一見すると(2019年のFIELD OF HEAVEN出演が象徴するように)コアなフジロッカー向けという印象を抱いてしまうかもしれないが、その包容力とグルーヴに満ちたライブパフォーマンスによって、今や各国のフェスティバルで重要なスロットを担うほどの評価を確立した。今回の『フジロック』も、大抜擢というよりは、グローバルなシーンを見据えた上での自然な帰結と呼ぶべきだろう。

TURNSTILE - LIGHT DESIGN [OFFICIAL VIDEO]

 また、ヘッドライナー級の盛り上がりに期待がかかるのが、初日のGREEN STAGEに登場するTurnstileである。今年9月からの北米ツアーにおける超豪華&ボーダーレスなゲストアクト(Clipse、Thundercat、Slayyyter、Vince Staples、Yves Tumorなど)も話題の彼らだが、そんなシーンを超えた求心力の高さこそ、彼らがハードコアバンドとして異例の成功を手にした理由と言えるだろう。WHITE STAGEのヘッドライナーを務めた2024年以来の出演ということもあって、その期待値は過去最高だ。広大なステージを舞台に、全員が一つになって盛大に暴れ倒す光景を期待したい。

若手から大ベテランまで、確かな存在感を示す充実の日本人アーティスト

ASIAN KUNG-FU GENERATION 『スキンズ』Music Video

 今年のラインナップで印象的なのは、例年以上に重要なスロットに日本人アーティストが配置されているということだろう。初日(24日)のWHITE STAGEのヘッドライナーを務めるのは、結成30周年イヤーを迎えたASIAN KUNG-FU GENERATION。4月に開催された有明アリーナ2DAYS公演が記憶に新しいが、個人的に印象深いのは、昨年のOasis来日公演のオープニングアクトとして出演した際に彼らが見せた堂々たるパフォーマンスと、(アウェーにも関わらず)東京ドームが一体となって響かせた凄まじい大合唱だ。J-ROCKの絶対王者であると同時に『NANO-MUGEN FES.』などを通して「洋楽の伝道師」としても日本のリスナーに親しまれてきた彼らの大舞台は、決して見逃せない。

Hi-STANDARD - Our Song - OFFICIAL MUSIC VIDEO

 先ほど紹介したTurnstileからバトンを受け取るのが、昨年、遂に新ドラマーのZAXを迎えて再始動を果たしたパンクレジェンド、Hi-STANDARDというのもグッと来てしまう。今でこそ大ベテランという印象の彼らだが、Turnstileが生み出す新世代のハードコアの熱狂に触発された彼らによる、フェスならではのエネルギーに満ちたパフォーマンスに期待したい。また、ファンクやソウル、ディスコにJ-POPのセンスを巧みに織り交ぜたグルーヴィーなサウンドで数多くのフェスを沸かせ、年始にはアリーナツアーを成功させたKroi(25日、WHITE STAGE)のステージは盛り上がること間違いなし。出演するたびに『フジロック』を異世界へと変貌させてきた御大・平沢進(「平沢進+会人」名義)がRED MARQUE、WHITE STAGEのヘッドライナーを経て、とうとう最終日のGREEN STAGEのヘッドライナー前に君臨するのも最高だ。

話題沸騰中の謎の覆面デュオが早くも苗場に登場、洋楽ファン待望の初来日公演も

Angine de Poitrine - Full Performance (Live on KEXP)

 個人的に、今年のラインナップで最も見逃せないのが、今年2月に公開されたKEXPのライブ映像をきっかけに、瞬く間に世界中の注目を集めたAngine de Poitrineだ(26日、RED MARQUEE)。かのラーズ・ウルリッヒ(METALLICA)がライブを観るためにLAからフランスまで渡航した逸話を持つカナダ出身の同バンドだが、そのエピソードも納得できるくらい、近年のロックシーン随一のユニークな魅力を誇っている。奇妙で可愛い見た目に騙されそうになるが、緻密に構築されたマスロックサウンドがガレージロックさながらのエネルギーを伴って躍動する二人のパフォーマンスは抜群の中毒性。彼らのために苗場へと足を運ぶ人も、きっと少なくないのではないだろうか。

Quadeca - Baby Steps

 また、近年のシーンの動きを追っていれば、一度は目にすることになるのがQuadeca(25日、RED MARQUEE)の名前である。昨年リリースされた4thアルバム『Vanisher, Horizon Scraper』でクラウドラップ/エモラップ以降の感覚とポストフォークの音楽性を結実させ、直近も精力的に新曲を発表している彼の初来日公演は、きっと何年経っても振り返られるような特別な時間になることだろう。年始早々にパワフルなパフォーマンスで日本を沸かせたアイルランド発のラップトリオ・Kneecap(26日、GREEN STAGE)の帰還も見逃せないし、深夜帯には宇多田ヒカル「Electricity」のリミックスでも話題のマンチェスター出身DJ、Salute(24日、PLANET GROOVE)によるメロディアスなUKガラージ/ハウスが響く(昨年の『SONICMANIA』で起きたFloating Points×宇多田ヒカルのようなサプライズにも期待したいが...あくまで願望として、胸にしまっておこう)。

 一旦ここで筆を置くことにするが、今年の『フジロック』は例年通り、あるいはそれ以上に注目のアクトが目白押しだ。タイムテーブルとじっくり向き合い、たっぷりと頭を悩ませながら、今年のプランを練っていこう。

藤井 風、XG、Aooo、ブランデー戦記、w.o.d……『フジロック』初出演、国内アーティストの活況

『FUJI ROCK FESTIVAL 2026』に初出演する国内アーティストを紹介。

山下達郎、VULFPECK、VAMPIRE WEEKEND……例年以上の盛り上がり見せた『フジロック'25』名シーンを振り返る

山下達郎、VULFPECK、VAMPIRE WEEKENDらが出演した『FUJI ROCK FESTIVAL '25』をレポート…

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる