Fujii Kaze、Mrs. GREEN APPLE、ONE OK ROCK、SUPER BEAVER……新たなアレンジで拡張する楽曲の魅力

 リリース済みの楽曲が、ライブなどを通して音源とは異なるアレンジで披露される例は少なくない。編成や演奏方法が変わることで、原曲とはまた違った魅力が浮かび上がることもある。

 Fujii Kazeが6月23日にリリースしたEP『Live at Apple Music Radio』には、今年4月にApple Musicのラジオ番組『The Zane Lowe Show』に出演した際のパフォーマンスが収録されている。そのひとつが、「You」だ。3rdアルバム『Prema』に収録されたオリジナル音源は、エレクトリックピアノを軸にしたメロウなサウンドが心地よく、曲が進むにつれて楽器やコーラスが厚みを増していくことで大きな高揚感が生み出されている。一方、今回のパフォーマンスはボーカル、キーボード、コーラスというシンプルな編成に。キーボードの柔らかな音色に、これまでにFujiiの楽曲やライブに携わってきたShy CarterとARIWAの美しいコーラスが絡み合う。藤井の語り掛けるような歌唱も相まって、〈Everything that you want is in you〉(あなたが望むものはすべてあなたのなかにある)というメッセージが、よりまっすぐに心へ届くアレンジとなっている。

Fujii Kaze: "You" (Live at Apple Music Radio) | Zane Lowe Show

 Mrs. GREEN APPLEは「Studio Session Live」として、既発曲をスタジオ音源やライブとも異なる特別な編成/アレンジで届けてきた。最新回「#3」で披露された「ライラック」も、爽快なロックサウンドの原曲とは異なる魅力を感じられる。ストリングスやトランペットが音を重ねながらクレッシェンドし、その先で若井滉斗(Gt)によるお馴染みのギターフレーズが奏でられる幕開けは、このアレンジならではの聴きどころ。歌い出しはあえて音数を抑えることで大森元貴(Vo/Gt)の歌声が際立ち、1番サビでは藤澤涼架(Key)が刻むピアノがボーカルを支える。さらに、大森はところどころでメロディラインにもアレンジを加え、その場で感情を紡いでいるかのように歌唱している。原曲よりも引き算を意識したアレンジだからこそ、大人になる過程で抱える痛みや葛藤を受け入れ、自分自身を愛していくというこの曲が持つメッセージがより深く響くのだ。

Mrs. GREEN APPLE - 01. ライラック from Studio Session Live #3

 ONE OK ROCKの「Renegades」は、映画『るろうに剣心 最終章 The Final』の主題歌として書き下ろされ、エド・シーランとの共作でも話題を呼んだ壮大なロックアンセムだ。2021年4月にリリースされた同曲は、その後8月にボーカルとピアノだけのアレンジバージョン「Renegades (Piano)」が発表された。「Renegades (Piano)」はシンプルな編成ゆえに、美しいメロディとTaka(Vo)の力強くも繊細な歌声が際立ち、息遣いや抑揚までが鮮明に伝わってくる。落ちサビではTakaの祈りのような声が響く。この静けさがあるからこそ、終盤に向けて少しずつ熱量が高まっていく展開も、よりドラマチックに聴こえる。常識に捉われず自分らしく生きようとする決意や覚悟が静かに込められたような、心を揺さぶるアレンジだ。

ONE OK ROCK - Renegades (Piano) Japanese Version [OFFICIAL VIDEO]

 YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」でも、さまざまなアーティストが原曲とは異なるアレンジを施したパフォーマンスを披露してきた。SUPER BEAVERの「人として」もそのひとつ。ピアノと渋谷龍太(Vo)の歌声だけで静かに始まり、そこへストリングスが重なっていく構成は、原曲とはまた違うあたたかみを感じさせる。ピアノとストリングスが繊細に音を紡いでいくことで、渋谷のエモーショナルな歌声がより一層引き立ち、まるで一人ひとりに語り掛けるような距離感が生まれている。ラストサビ前の〈そうなんだよ〉で一瞬音が鳴り止み、その後明るい日差しが注ぐかのように、弦楽器が軽やかに舞うような旋律を奏でるのも印象的だ。〈人として かっこよく生きていたいじゃないか〉という率直な願いがよりまっすぐに響き、楽曲が持つ人間味や優しさを感じさせるアレンジとなっている。

SUPER BEAVER - 人として / THE FIRST TAKE

 音を引き算したり、新たな楽器を加えたりすることで、歌やメロディ、歌詞の魅力があらためて浮かび上がるアレンジバージョン。聴き慣れた楽曲も、新たなアレンジによって思いがけない感動と出会えるかもしれない。

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