「正直、ずっとガールズバンドを続けていると思っていました」――SAKI、自身の“芽吹き”と日本音楽シーンの多様性

Mary’s Blood、NEMOPHILA、AMAHIRU、Like〜an〜Angelなど、さまざまなバンド/プロジェクトで存在感を放ってきたギタリストのSAKIが、ソロ名義では初となるアルバム『PLUVIA』でメジャーデビューを果たす。
ラテン語で“雨”を意味するタイトルを冠した本作は、華やかなテクニックを前面に押し出すだけのギターアルバムではない。雨音のように静かに情景を立ち上げる表題曲「PLUVIA」、K-POPのガールクラッシュ的な質感をギター・インストへと昇華した「THE EMPRESS」、Gus G.とのソロバトルが実現した「Flores a Flores」、そして“芽吹き”を意味するラスト曲「GERMINANS」まで、そこにはSAKI自身のルーツ、現在地、未来への予兆が刻まれている。
ボーカリストのいないインストゥルメンタルだからこそ、ギターはより強く“歌”を担うことになる。デビューから15年以上のキャリアを経て、SAKIはなぜ今、自分の名前でこの作品を世に放つのか。雨、メロディ、80年代音楽からの影響、ギターインストの可能性、そして日本のガールズバンド・シーンへの眼差しまで、『PLUVIA』に込めた思いを聞いた。(黒田隆憲)
自分のギターだけで成立させないといけない――チャレンジという大きな意味

――これまでさまざまなバンドやプロジェクトに携わってきたSAKIさんにとって、ソロで作品を出すことにはどんな意味がありましたか?
SAKI:昨年デビュー15周年を迎えたんですけど、ソロ名義でアルバムを出すのは、これが初めてなんです。しかも、これまでのプロジェクトと違って、今回はギターインストゥルメンタル。ボーカリストの方がいるわけではないので、自分のギターだけで成立させないといけない。そこにチャレンジすることにも、大きな意味があると思っています。
――SAKIさんのギターは、テクニックはもちろん、抒情的なフレーズや歌心あふれるソロにも定評があります。特に影響を受けているギタリストはいますか?
SAKI:ギタリストでいうと、ジョー・サトリアーニとアンディ・ティモンズですね。耳に残るメロディという意味では、今回もこのおふたりをかなり参考にさせていただきました。
もともと聖飢魔Ⅱがすごく好きで、それがギターを始めるきっかけでもあったのですが、最近はいろんなバンドを聴くようになりました。自分で曲を作っていて思うのは、特に80年代の音楽から影響を受けているなということです。ハードロックもそうですし、普通に80’sポップスもそう。父が車で80年代の洋楽をよく流していたんですよね。BON JOVIとかシンディ・ローパーとか。ジョー・ジャクソンも好きです。全然ハードロックではないんですけど(笑)。
――ラテン語で“雨”を意味する『PLUVIA』をアルバムタイトルに掲げた理由を聞かせてください。
SAKI:私、めちゃくちゃ雨女なんです。つい先週も撮影があったんですけど、雨で外ロケができなくなってしまって。『NAONのYAON』も、自分が出た時は毎年雨が降っていたので、寺田恵子(SHOW-YA)さんに「なんとかしてよー」と言われてしまうくらい(笑)。それで今回、ソロデビューするにあたって自分のキーワードをひとつ決めようと思った時に、やっぱり“雨”だな、と。雨は好きですね。濡れるのは確かにイヤなんですけど、家のなかで雨が降っているのを眺めたり、その音を聞いたりしていると落ち着くので。家にいる時の雨は好きです。それに雨音って、音階はないですけど、すごく音楽的だなと思いますし。
――アルバム全体のコンセプトやストーリーは意識していましたか?
SAKI:1曲目が「PLUVIA」で、最後の曲が「GERMINANS」なんです。「GERMINANS」もラテン語で。“芽吹く”という意味があるので、“雨が降って、最後に花が芽吹く”というストーリーは最初から決めていました。その流れのなかに、いろんな曲が入っていくのがいいのかなと考えていましたね。
――ほぼ全曲でSAKIさんが作曲されていますが、普段はどのように曲を作っているのでしょうか?
SAKI:私、ほかのアーティストのみなさんがよく言う「曲が降りてくる」みたいな経験があまりなくて。いつも机の前に座って、「どんな曲を作ろう?」と考えるところから始まります。DAWソフトを立ち上げて、とにかくギターを弾いてみる。そこで何か思いついたら、どんどん変えていく。ほかのパートから作ることはなくて、基本的にはギターを録って、スケッチしていく感じです。
結果的に不思議な拍子になった曲もあるんですけど、それも最初から変拍子にしようと考えていたわけではなくて。ギターだけでリフをずっと考えて、きっちりした拍をあまり意識せずに進めていった結果、そうなったという感じです。
――曲を作る時に、映像や風景が浮かぶこともありますか?
SAKI:曲を作っていくと、だんだん景色が見えてくることはあります。明確にあったのは「HORIZON」ですね。曲作りが煮詰まってきた時に、環境を変えようと思って、海の見える場所にギターだけ持って行ったんです。お正月くらいからしばらくこもっていたんですけど(笑)、太陽が出る様子をぼーっと眺めながらリフを考えていたら生まれた曲です。
――アルバム制作中、ほかに何かインスピレーションを受けたことはありましたか?
SAKI:昨年末から今年の4月、5月にかけて、プライベートでものすごく大きな変化があったんです。まわりの環境も変わりましたし、小さなトラブルも大きなトラブルもいろいろありました。それが嵐のように過ぎ去って、アルバムが完成する頃にちょうど収束していった。そういうことも、多かれ少なかれ作品に反映されているのかもしれないです。
あとは、昔からの知り合いにたまたま会う機会もすごく多くて、自分のルーツに触れるようなタイミングでもありました。今年2月に自叙伝(『サキノオト。〜ギタリストSAKI自叙伝〜』/シンコーミュージック)を出したこともあって、自分を振り返る機会が多かったんだと思います。




















