草彅剛&香取慎吾が“女性”に向けるやさしいまなざし 体感し、共感し、労わる 経験を通して寄り添う姿勢

 香取慎吾が『週刊文春WOMAN』2026春号(文藝春秋)に表紙画を描き下ろし、インタビューに答えている。毎号、特集テーマに沿って描かれる香取の表紙画。今号は「家事がつらい」がテーマと聞くと、積み重なった皿の意味が見えてくる。

 
 
 
 
 
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 白いキャンバス。コピー用紙で形作られた皿たち。その上から、さらに白い絵の具が塗り重ねられている。洗われていない皿を表現するのに、色を使わない。どちらかといえばカラフルな印象の強い香取の作品からすると、どこか新鮮に映る。だが、インタビューを読み進めるうちに感じたのだ。これは、家事をする人に向けられた“やさしいまなざし”なのだと。

 きっとここに色があったほうがリアルなのだろう。けれど、生々しい表現はときにその渦中にいる人を辟易とさせることがある。真っ白だけれど、汚れている皿なのだとわかる。その工夫が直視しやすくなるクッションになる。それこそが、香取が続けてきた“表現”のあり方なのかもしれない。

 表紙画につけられたタイトルは「白く」。香取は「“白くする”って気持ちのいいこと」と語る一方で、それを保つための時間と労力が見過ごされてきたことにも言及。そして、時代が変わってきたとはいえ、実は変わっていないのではないかと疑問を投げかける。

 多くの国では、今もなお家事のほとんどが家庭のなかで女性によって担われている。日本においても「家事がつらい」というテーマが掲げられること自体、「時代が変わっていないんじゃないか」という香取の鋭い指摘に唸らされる。こうした指摘の背景には、長く“時代を映す側”に身を置いてきた経験がありそうだ。とりわけ香取は、時代の変化に伴う痛みを和らげる“クッション”のような役割を求められてきたように思う。

キャラクターや企画を通して培った考え方

 原点となっているのが、NHKドラマ初出演作品『マドンナは春風にのって』(NHK総合)なのだろう。主人公のえり子(三田佳子)は40代で未婚の母。女性の地位向上をテーマに取材を続けるフリーの記者で、香取はそのひとり息子を演じた。『マドンナは春風にのって』は、女性が自立して生きていく時代を先取りするような作品でもあった。その時代の変わり目を12歳ながらに感じていたという。

 加えて、20年にわたって続いた『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)の「BISTRO SMAP」コーナーも、男性がキッチンに立ち、美味しい料理を振る舞う“かっこよさ”を世間に印象づけてきた。並行して、香取自身も料理に付随する後片付けの大変さを目の当たりにしてきたという。番組である以上、スタッフがサポートに入ってくれるが、これが日常となれば、さぞ大変なことだろうと思いを馳せる。そうした点にも、香取の思慮深さが垣間見える。

 そして2000年には、今も多くの人から親しまれ続けているキャラクター・慎吾ママとなって、家事で大変な思いをするお母さんを助けに行く早朝ロケも担ってきた。当たり前に求められる日々の家事がどれほど大変なものなのかを、体当たりで経験してきたと言えるだろう。香取を応援している人の多くは、そんな日常的に家事を担う女性たちだ。

 ロケ企画やキャラクターを通じて、彼女たちがこなしている作業の大変さを痛感してきた香取。そこから「僕はアイドルとしてファンの方との関係性において、『僕が料理を作って、洗い物もやるよ』という思いで生きるようになった」という言葉が出てくるところに、国民的スターとなる度量と覚悟を感じさせた。

草彅剛の演技を通した実感

 また、香取が親友の草彅剛とともにパーソナリティを務めるラジオ『ShinTsuyo POWER SPLASH』(bayfm)3月22日放送回には、「恋人からハイヒールをプレゼントされたが、階段が怖くてまだ1回しか履いていない」というリスナーからのお便りが届く。映画『ミッドナイトスワン』でトランスジェンダーとして生きる凪沙を演じた草彅がアドバイスを求められると「その場は気合いでやってますから。痛いですよ、やっぱり。女の人、大変だね。あんなピンヒールなんて、面積がないから、くじくよ!」と、こちらも役を通じて実際の痛みを経験したうえで、共感を示す。香取も「僕も仕事で履いてきましたけど、すごいですよね。あれは強化すれば履けるものですかね?」と相槌を打つと、草彅は「体重の乗せ方じゃない? こうでしょ! こう歩くでしょ!?」と、どうやら立ち上がって実演を始めていた模様。「足の運び方でしょ。自分の体重が中心に乗るように足を出すみたいなことじゃない?」と、リスナーと一緒の気持ちになってハイヒールの克服方法を模索しつつも、最後には「でも、運動靴がいちばんいいよね」と笑う。そこにこそ、つらい人に届く“寄り添い”があるように思えた。

 「大変だね」と話を聞いて終わりでもなく、「別の方法にしなよ」と指示を出すだけでもなく、一緒に体感し、悩み、そして労り、笑い合う。今回は家事やファッションにつらさを感じた女性に向けたものだったが、きっと性別や世代を問わず、彼らはいろんな場面でさまざまな人たちの痛みに寄り添ってきた。その“やさしいまなざし”があるから、彼らは変化の激しい時代にも多くの人から愛されてきたのだろう。そして、その視線は彼らがチャレンジする企画や演じる役柄など、経験を重ねるほどにさらに深くなっていく。これからも時は移ろい続けていく。そのなかでも、こうして痛みを見逃さないエンターテイナーがいてくれるありがたさをあらためて感じた。

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