前川真悟(かりゆし58)×GEN(04 Limited Sazabys)対談 フロントマン同士が語り合う音楽の真髄

かりゆし前川×フォーリミGEN対談

04 Limited Sazabysが「電照菊」をカバーした理由

――そんな中でフォーリミは今回「電照菊」をカバーしています。これはどちらが曲を選んだんですか?

GEN:僕らで選ばせてもらいました。僕の地元って本当に電照菊が盛んで、夜、田んぼ道ばかりで暗いんですけど、その中に電照菊を育てているビニールハウスの光があって。夜景スポットもあったりするんですよ。だから僕の中では電照菊の光っていうのは、めちゃくちゃ地元の、お母さんの車の後ろの席に乗っている時の記憶がすごくこびり付いていて。できるだけ自分のことみたいに歌える曲を選びたいなと思ったので、「電照菊」をチョイスさせてもらいました。

――どんなこと思いながらやりました?

GEN:自分も田舎から出ていって今東京にいるので、勝手に自分のストーリーに置き換えて、その景色も含めて自分のものにして歌わせてもらいました。

――前川さんはフォーリミの「電照菊」を聴いてどんなこと感じましたか。

前川:僕らの街、沖縄っていう島は、半分近くといったらオーバーだけど、結構な割合で一度は島を出るんですよ。たとえば学校を出たあととかに。で、島を出るためにはみんな飛行機なんですよ、今は。だから飛行機が飛んでいく時に、僕らの田舎町の明かりが目印になったりするんですね。で、それをできたら君も見ててくれたらいいなとか、そこに迷わずに帰ってきてくれたらいいなっていうことを歌った曲が「電照菊」なんですけど。GENくんの声の方が高いところまで飛行機が飛びそうだなって(笑)。GENくんの歌声には……まあ彼はものすごく詩人でもあるし、ある意味哲学者でもあるんですけど、僕の中では。で、それをあの軽やかな声で歌うから、哲学絵本を読んでる感じがするんです。本当に朴訥と、帰り道に鼻歌を歌ってるような声が、バンドの翼を借りて飛行機に並走してくれてる感じがして。「あ、この曲はこういう飛び方をしたかったんじゃないかな」と感じました。

GEN:めちゃくちゃ嬉しいです。やっぱり楽曲がシンプルにいいので、あんまりこねくり回せないなと思いつつも、自分たちの味をほどよく入れて、最後ちょっとメロを足してみたりとかして。楽しかったですね。そこまでなんかこう行ったり来たりせず、メンバー同士で「こうだよね」みたいな。同じ方向を向いてできました。

――ちゃんとフォーリミの曲になってる感じがしますよね。こうして自分たちの曲をフォーリミをはじめいろんなアーティストがカバーしてくれて、前川さんにとってはまた違った角度からかりゆし58の曲を聴いていくみたいな体験でもあったと思うんですけど、どんなことを思いましたか?

前川:さっき(宮平)直樹が「まさにそうだな」っていうことを言ってたんですけど、自分たちの子供が曲だとしたら、今回孫が帰ってきた感じ。だからもう猫可愛がりです。自分たちの曲をただただ可愛がらせてもらえる、幸せな時間だなと思います。あ、そう、今ので思い出したけど、自分たちの曲ってこんなポテンシャル秘めてたんだとか、こういう一面をこの子たちは持ってたんだって分かった。自分たちが見出しきれてない曲のいいところ、自分たちが撫でてあげられなかった曲の可愛い部分を、みんなが教えてくれて、より愛しくなりました。20年目は演奏にももっと熱と愛が入ってくるんじゃないかな。

――で、そのトリビュートアルバムのツアーもあるということで。東京がMONGOL800、大阪がORANGE RANGE、そして福岡で04 Limited Sazabysとの2マンです。

GEN:2マンさしてもらうのは初めてですね。

前川:楽しみだわ。

――3公演ともかなり面白い2マンになりそうですね。

GEN:僕ら、特に先輩にライブに呼んでもらった時は、昔は「持っていってやるぞ」みたいな感覚があったんです。でも僕らもキャリアをだいぶ積んできて、今はできるだけいい状態でパスしたいなっていう気持ちがあって。焼け野原にするよりは、すごいいい感じに耕して、お互い一緒に美味しいもの食べたいっすね。かりゆしのお客さんもきっと耳が肥えてると思うので、僕らもちゃんと、さっき真悟さんがおっしゃってたように、群衆に向かってやるというよりはちゃんと1人1人を意識して、包み込むようなライブができるバンドになってたいですね。

前川:なぜ僕らが20年人生を注いできた作品をこのバンドさんに委ねたかを、そのバンドさんに初めて出会う人にも感じてもらえるライブになると思うので、無責任だけど「モンパチ食らえ」と思うし「ORANGE RANGEを食らえ」と思うし、「フォーリミを食らえ」と思いながら、やると思いますね。20年目にして今まで身を置いたことがないところに身を置けるのはお互いにいいなと思います。何が起こるか確かめ合いましょう、しか言えないですよね。一番いい予感がする仲間に声を掛けてOKしてもらってるので、乞うご期待と思ってます。

――福岡は飯も旨いんで。

GEN:じつは福岡にお気に入りの店があるんです。そこの店、めちゃくちゃ熱いのが、店員さんが全員ほぼおじいちゃんなんですよ。

前川:え、おじいちゃん?

GEN:みんな、蝶ネクタイとかしてるおじいさんたちなんですけど、その店に楽器が置いてあるんですよ。

前川:あ、その店行ったことある!

GEN:ありますか? で、歌ってたりすると、たまに鍵盤で入ってきたりとかするんです。そのおじいさんたち、元バンドマンなんですよ。そこにぜひ真悟さんと行きたいですね。

――まあ、打ち上げも含めて、いい夜にしていただければと思います。そして今年は20周年ということで。かりゆし58の活動もガンガン決まっています。改めてどんな1年にしたいですか?

前川:とにかく5人、サポートとしていてくれる(柳原)和也も含めて。5人で周年を祝い切る。大きな結果とか、今まで見えなかったような眩しい景色を見たいっていうのはその延長線上にあるんだけど、まずは5人が肩並べて、自分たちの節目を祝ってくれる人の向かい側に立つ。あとこないだ僕らの地元糸満の市場に行ってきたんです。「アンマー」のビデオになったあの場所。その市場がちょうどコロナのタイミングぐらいで老朽化で建て直しされて、今は真っ白な綺麗な建物になったんだけど、そこに「アンマー」のシングルのジャケットになってる顔はめパネルみたいのがあって、それがピカピカの状態で残ってたわけ。

――当時のものが。

前川:そうなんです。聞くと、何年か前にやっぱ雨風でやられてたのを地元の船大工さんがグラスファイバーとか入れて蘇らせたっていうの。で、「そこにかりゆし20周年ののぼりを立てようと思ってるんだ」と言われて。足繁く通ってるわけでもないのに、地元のいちばん根っこにそうやって応援してくれてる人がいるんです。20年前ビデオに出てもらった母ちゃん、ばあちゃんたちの中にはまだご存命の方もいらっしゃると聞いたから、そのかあちゃんたちに「ちゃんと20歳になりました」というライブをお届けするというのは、大事な演奏だと思ってますね。

GEN:その話を聞くと、かりゆしの楽曲ってルーツにレゲエがあると思ってるんですけど。まさにレベルミュージックだなって思いますね。音楽っていう、言語でもないもので、人の感情を動かして社会がちょっと良くなってるみたいなのって、本当にすごい力を持ってるなって思います。僕らはどちらかというとこうパンクから派生してるバンドで、パンクもやっぱりレベルミュージックだと思ってるんですけど、社会がどんどん複雑化していく中で、だからこそレベルミュージックというか、音楽の力でなんかちょっとだけでも世の中が良くなったり、誰かが助かったりいいなというのを今真悟さんのお話を聞いてて思いました。

前川:かりゆし58がっていうよりは、音楽を好きっていうことは、その人の人生を1つ豊かにすると思うんです。なので、その相手が宝物の尊さに気付くきっかけを作るのが音楽家の仕事で。僕らが今いちばん世の中に残せる成果は、新しい歌い手、新しい楽器弾きを1人でも多く生むことだと思うんです。「こいつらがやるんだったら俺でもやれる」でもいいし、「あんな曲が売れてるんだったら俺もっといいの書ける」でもいい。動機は何でもいいから、誰かがマイクを手にしたりペンを手にして自分のリリック書いたりする入り口に僕らがあればいい。だからどこにでも行って音楽をやっていたい。届けたいっていうよりは、やってる様を誰かに観てもらえて面白がられたりしたらいいかなって感じです。

◾️リリース情報
『かりゆし58 20th TRIBUTE ALBUM -Solo-solo HA!touch-』
2026年3月18日リリース

<参加アーティスト>
04 Limited Sazabys、Anly、BEGIN、ET-KING、G-FREAK FACTORY、ガガガSP、HY、MONGOL800、ORANGE RANGE、PUSHIM、湘南乃風、佐久間龍星、ザ・パパイヤンズ
※全13組/アルファベット表記順

■ツアー情報
『かりゆし58 20th TRIBUTE ALBUM -Solo-solo HA!touch- TOUR』
3月20日(金祝)東京・Zepp Diver City w/MONGOL800
open 17:00/start 18:00
3月27日(金)福岡・Zepp Fukuoka w/04 Limited Sazabys
open 18:00/start 19:00
3月29日(日)大阪・Zepp Osaka Bayside w/ORANGE RANGE
open 17:00/start18:00

■関連リンク
【かりゆし58 20周年特設サイト】
https://kariyushi58.com/feature/20th
【かりゆし58 公式HP】
https://kariyushi58.com/
【かりゆし58 公式X(旧Twitter)】
https://x.com/kariyushi58info
【かりゆし58 公式Instagram】
https://www.instagram.com/kariyushi58_official/

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