yummy’g、“固定観念”からの脱却 『My jam』で鳴らす自分たちらしさ、音楽的ターニングポイントに迫る

yummy’g『My jam』で鳴らす自分たちらしさ

「歌詞で悩む時間が増えました」ーー日本語への転換がもたらした進化

――逆に、このミニアルバムの中で一番最近できた曲は?

ARISA:「Girlish」ですね。この曲はレコーディング直前に「あと1曲どうする?」ってなって。もうひとつ候補曲があって、それを入れるかっていう案もあったんですけど、そこでASUKAが「yummy’gの固定観念をなくして、自分が書きたい曲を書いたから聴いてくれ」って言って持ってきたんです。

――この7曲は、この1年ぐらいの中でのyummy’gの変化が詰まっている作品なんですね。その中で1曲目の「One More Rush」から2曲目「SAW」への流れが、すごく新しいyummy’gを印象付けていると思います。「One More Rush」はどのようにできた曲なんですか?

ASUKA:これは「春の曲を書こう」っていうテーマで、新しく始まった生活でモヤモヤしてる人に向けて書いた曲です。

――そのモヤモヤは、自分自身の気持ちともリンクするものがあった?

ASUKA:そうですね。新生活は結構前に終わってたんですけど、当時の自分の悩みとかを思い出しつつ、「今の自分はこう思ってる」みたいなことを書いたりとか、2年後や3年後、自分が悩んでる時に「こう言ってほしいな」っていう言葉を並べて書きました。

yummy'g - One More Rush (Official Music Video)

――視点が少し大人寄りになった感じはしますよね。2人はこの曲についてどんなことを感じながらレコーディングしましたか?

ARISA:yummy’gにしては結構爽やかやなって。春ってめっちゃきれいな季節やと思うんで、それも意識しながら演奏も丁寧にやりました。yummy’gの中ではトップクラスできれいな曲やと思ってるんで、大切にしたいなと思ってます。

とも:歌詞に〈桜〉ってワードも出てくるんですけど、春っていう季節の新しさとか、ワクワクしてる感じもそうやし、逆に桜が散る儚さとかも大事にしました。

――演奏も、ARISAさんがおっしゃったように丁寧な印象があって。勢いやノリじゃないところで音を鳴らしてるんだなっていうのがすごく伝わってきます。そしてそこから「SAW」に入っていく流れもすごくきれいだなと。

ASUKA:「SAW」もシーズンシリーズで「夏っぽいを曲書きたい」と思って書いたんです。夏といえばアイスだって思って……「アイスと恋は似てるよね」みたいな話題をどっかで見たので、その儚さみたいなのを書きました。

――ああ、じゃあ「SAW」ってもしかしてアイスの「爽」のこと(笑)?

ASUKA:そうです(笑)。

yummy'g - SAW (Official Music Video)

――なるほど(笑)。春の曲があって次に夏の曲がきて、という季節の移ろいのようなことなんですね。印象的なのは、今まで歌詞の中に英語を入れてノリやリズムを出すことが多かったと思うんですが、この2曲はほぼ日本語で書かれていますよね。

ASUKA:それも、ともちゃんとARISAとバンドやるようになって、洋楽ばかりじゃなくて2人の好きな邦ロックとかも聴くようになって……やっぱりダイレクトに受け取ってもらえるのは“日本語”やなって改めて気づいたんです。英語を使ったらたしかに語呂もノリもよくなるけど、そこを一度改めてみようと思って、日本語でチャレンジしました。

――英語を日本語に変えると、言葉選びも変わるし出てくるものも変わっていくじゃないですか。そのあたりの変化はどう感じますか?

ASUKA:やっぱり日本語難しいなって(笑)。こうとも言えるし、ああとも言えるみたいな感じで、歌詞で悩む時間が増えました。

――言葉の選択肢が増えるってことですよね。

ASUKA:はい、めっちゃ増える(笑)。

――ひとつの言葉を選ぶのにもよりこだわって考えたんだと思うし、だからこそより伝わるものになったんじゃないかと思うんです。今まで伝えきれていなかった部分までしっかりと表現することができた、という気持ちもあるんじゃないですか?

ASUKA:うん、ありますね。

とも:英詞の時は、それこそノリみたいなものを意識してたけど、日本語詞の曲をライブでやると、やっぱりお客さんに伝えやすいなって感じます。自分が届けたい思いというか、曲の感じが鮮明やからやりやすいです。「お客さんに届いてるな」とか、「今の瞬間グッときてるな」みたいな部分も、すごく受け取りやすいなって思います。

ARISA:自分は結構歌詞とかメロとかを聴くタイプなんで、ASUKAがめっちゃこだわって考えて歌詞を書いたんやろうなというのも、日本語が増えたからこそわかります。めっちゃいいなと思ってます。

――彼女の思いが伝わってくるような感じもする?

ARISA: はい。聴いてる人もよりわかりやすくそれを受け入れられるんじゃないかと思います。

――今作はもちろんサウンドの変化もありますけど、一番「おっ」と思うのは“歌”が本当に強くなったというか、伝わってくるものになったなということで。それはシンプルに日本語になったのも大きいとは思うんですけど、日本語になることによってASUKAさんの内側にある気持ちが、よりダイレクトに歌に乗るようになったってことなのかなと。英語でコスプレするのではなく、ありのままで歌うことができるようになったのかなって感じました。

ASUKA: そうですね。それこそ以前は、ただ元気で明るい自分を無理やり英語で歌ってたんです。でも日本語にしたら、自分が伝えたい気持ちもきれいに書けるようになったというか。だからこそ、ライブでも前よりも気持ち入れながら歌えるし、声も飛ぶようになったなって実感してます。

――でも、ここまでいろいろなものを一気に変えていくというのは、きっと大変でもあっただろうなと思うんですけどね。

とも:「Girlish」とかは、初めてデモを渡されて、「ともちゃん、このドラムめっちゃ難しいと思うで」って言われて(笑)。

――(笑)。

とも:で、聴いたら、ほんまに「めっちゃ苦手や」って思いました(笑)。でも苦手ってことは新しい選択肢が増えるということでもあるから、前向きに捉えてはいて。ライブでも、同じ曲調ばかりじゃなく新しい風が吹くんじゃないかなと思うので楽しみですね。

――「Girlish」は今作中でも最もサウンド面のインパクトがありますよね。ファンキーで、一瞬Red Hot Chili Peppersを感じる、みたいな。ARISAさんはどうでしたか、この曲。

ARISA:この曲のベースだけ、唯一指弾きなんです。ピックから指に変わるだけで音楽のジャンルとかも変わってくるんで、「どう持っていったらこの曲は正解なんやろ」ってめっちゃ考えました。苦労した……(笑)。でもこういうジャンルも好きなんで、楽しみながらやれました。

――ASUKAさんの中では「Girlish」はどういう曲なんですか?

ASUKA:これは「自由に書いていい」って言われて書いた曲で。ほんまにかわいい感じの曲を書きたかったんです。サウンド的には、ベースとドラムのいいマッチングの感じとかを出したいなと思って。ギターはめっちゃシンプルなんですけど、ドラムとベースが頑張ってくれた曲ですね。

「こうじゃないとダメ」という固定観念を壊し、ありのままの姿で初ワンマンへ

――そういう曲と、それこそこれまでのyummy’gを感じられる「W^H^H^」みたいな曲がちゃんと同居しているのもいいですよね。

ASUKA:うん。アルバム全体で見た時に、長めの曲や内容の濃い曲ばかりだったんで、単純なフレーズでキャッチーな曲も1曲入れとこうと思って書いたのが「W^H^H^」でした。

――でもこの曲って、「楽しもう」に全振りみたいな歌詞じゃないですよね。その裏側には悩みとか苦しみがやっぱりあって、「でも」みたいなベクトルで書かれている。そこにASUKAさんらしさが出てるのかなとも思います。

ASUKA:なんか、普段からずっと悩み事してるんで(笑)。それが歌詞に出てるって感じです。いつも歌詞を書いて、自分の中で答え合わせしてるみたいな感覚なんですよ。今悩んでることに対して、「笑えるように納得するまで頑張ろうかな」と思っていた時に書いたのが「W^H^H^」やったりもするので、書いてる時の自分の悩みとか私生活が曲にリンクしてる気がします。yummy’gとしてもいろいろ振り切ってやり始めてから、いい意味で悩みも増えたので。いろいろ考えて書くようにはなりましたね。

――その悩みはバンドを続けていく以上続いていくものだと思いますが、そこに一歩踏み出したっていうのは、これからのyummy’gにとっても大きなターニングポイントになったんじゃないかなと思います。

ARISA:そうですね。yummy’gっていう固定観念とかブランディングを、3人ともずっと気にしてた部分があって。たとえば見た目で怖がられるとか、ガールズバンドやから気を遣われることも結構多かったんですよ。でも、やっぱり自分たちの裏側とかも見せていかないと人間性ってわからへんよなって思うようになって。それも曲にリンクしてるし、もっと、マジで固定観念をぶっ壊して何でもやってみて、それができたときにいいyummy’gになるんじゃないかな、と思ってます。

とも:「かっこいい曲やってるからかっこよくないと」っていうか、ちょっとふざけてるところとかも出しちゃあかんと思ってたんです。でも2年やってきて徐々に周りが見えてきて、かっこいいことやってるからこそ普段ちょっとふざけてるくらいの方が魅力を感じてもらえたりするんじゃないかなって。

yummy’g

――そんなニューyummy’gで、3月14日に大阪・心斎橋Pangeaでの初ワンマンに臨みます。最後に意気込みを聞かせてください。

とも:同期というか、それこそ『十代白書』から始まったバンドも周りにいるんですけど、そういうバンドに比べるとめっちゃ早いペースで進んでるなと思うんですよね。でもそれだけ期待されてるってことやなと思うので、その期待をさらに超えていけるようなライブができたらなと思ってます。いい意味で裏切れる日にしたいです。

ARISA:今までやってきたyummy’gを全部ひっくるめて、そのまんまを見せたいです。ライブが終わったあとに「yummy’gはこうやって進んでいきたいんやな」というのが提示できるようにしたいし、応援してくれる人が1人でも増えてもらえるような日にしたいなと思ってます。

ASUKA:このアルバムは、自分にとって「最高」と思える曲がたくさん詰まっているんです。新しい感じの曲を書いた時に、2人が自分が思ってた以上に反応してくれてたのと一緒で、バンドの見せ方とかもARISAが言ったみたいに「こうじゃないとダメ」みたいなものを取っ払って今年はやっていきたいなって思うので。早くライブでいろんな人に届けたいですね。

『My jam』
『My jam』

■リリース情報
yummy'g
『My jam』
2月25日(水)配信リリース
3月4日(水)CDリリース
商品URL:https://tower.jp/item/7958019

<収録曲>
One More Rush
SAW
W^H^H^
DOLL PLAY
Girlish
PΣAK!
2L8

■ライブ情報
yummy'gワンマンライブ『1 UP』
2026年3月14日(土)
大阪・LIVE HOUSE Pangea
OPEN 17:30 / START 18:00
前売¥3,300 / 当日¥3,800 +1D
チケット情報:https://livepocket.jp/e/3jqho

■関連リンク
yummy’g HP:https://linktr.ee/yummygmusic
yummy’g X (旧Twitter):https://twitter.com/yummyg_official
yummy’g Instagram:https://www.instagram.com/yummy.g_official
yummy’g YouTube:https://www.youtube.com/@yummyg-zw1se
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